五輪疑獄27 神宮外苑と築地のダブル地上げの為の東京五輪

五輪疑獄27 神宮外苑と築地のダブル地上げの為の東京五輪

東京五輪は「神宮外苑」と「築地市場」の二箇所を同時に地上げする為の「口実」であり「利権」だった

神宮外苑の「地上げ」はこれからですが残念なことに伝統ある築地の豊洲移転(これが地上げ)は完了してしまっています。全ては1999年4月の石原慎太郎都知事就任に始まります。

石原は都知事就任後半年も経たない1999年9月、大勢のTV局クルーを連れて築地市場を視察して「古く、狭く、危ない」と暴言を吐いたことは有名です。

しかしその暴言の裏には石原本人が知事選出馬以前から温めてきた「陰謀と利権」があったのです。

 

2005年8月森喜朗ー石原密談

2005年8月8日、当時清和会会長だった森喜朗元首相が都庁を訪れ知事室で石原と長時間密談していたことを東京都幹部達が記憶していた。

当日は奇しくも小泉政権が「郵政国会」で動揺し郵政民営化法案が衆院では可決されたものの参院で否決された日だった。これを受けて小泉は衆院解散に踏み切った。

この時の選挙は「郵政イカサマ選挙」でアメリカ政府が直接介入し選挙の不正工作をやった事は拙著「日本再占領: 郵政を民営化し、350兆円を奪え! 新自由主義の経済」で詳しく述べました。

ですから森喜朗は郵政民営化法案を参院で否決されたら小泉純一郎が衆院を解散して清和会が最大派閥になるという結果を予め知っていて選挙後の清和会の新たな利権話を清和会議員だった石原と密談したのです。

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2005年衆院選後の石原慎太郎の豹変と驚愕の政策表明

2005年9月11日の投開票で小泉と清和会が大勝した。9日後の20日都議会での所信表明演説で石原は唐突に2016年の五輪招致計画を表明した。同時に築地は豊洲移転後、五輪のメディアセンター(超高層のツィンタワー)にする。五輪招致を理由に築地の移転と地上げをぶち上げたのだ。

※https://www.youtube.com/watch?v=B7G1geUdPvU

神宮外苑1000本伐採 暴かれる森&石原の暗躍 澤 章さん【山岡淳一郎のニッポンの崖っぷち】

2005年夏ごろ、当時は前首相だった森喜朗が都庁に都知事の石原慎太郎との打ち合わせの為にやってくるらしいという噂が都庁幹部の間でもち切りだったそうですが、実際に森が来て会談して帰った。当時の森は小泉の前任者、言わば現職総理を辞めたばかりだったので今よりも「存在感」と「影響力」は大きかった。

森ー石原会談の詳しい内容は都庁幹部にもほとんど漏れてこなかったそうです。

しかし当時、都庁幹部で石原の都議会のスピーチライターの仕事もやっていた澤章氏は支持されたとおりに原稿を書いて驚いたそうです。

理由は「東京に五輪を招致する」と勇ましく宣言はしたものの、その「理由」については一切都庁幹部には納得のいく説明が無かったからです。

それはそうですよね。「最初に神宮外苑と築地の地上げありき」なんだから、事を強引に前に進めて既成事実を作り、「五輪招致の大義名分」は当然「後付け」になるからです。

更に永年、そばで仕えた澤氏に言わせると故石原慎太郎は「尖閣の買収」にせよ、政治的なパフォーマンスは「思いつき」ですぐやるが、「神宮外苑と築地の地上げ」の様な「利権の絡む事業」は自分の腹心や心を許せる「都庁幹部」をヘッドにして「秘密部隊」を作らせて、都庁内や「世論」の反発が出てももはや後戻りできない段階まで既成事実を作らせたのちに明らかにするという「政治手法」だったそうです。

そう言えば日本最悪最凶の「汚染地域」の豊洲を、渋る地主の東京ガスを強引にくどいて築地の移転先として「都民が負担をかぶる内容」で強引に売買契約を結んだのも、副知事で長年の腹心だった右翼学生出身の浜渦武生(はまうずたけお)にやらせたのが典型です。

画像は記者会見で記者を威嚇する浜渦武生

小池百合子が都知事に就任後「豊洲移転問題」で2017年5月に石原と浜渦が百条委員会に召喚され、石原が「俺は知らない、聞いていない、報告も受けていない、全部浜渦が独断で勝手にやった事だ」と嘘と言い訳に終始したのはTV映像と共に鮮烈に記憶に残っています。

画像は都議会百条委員会で防戦一方の石原慎太郎、

最初にこの「清和会OBの腐敗政治家コンビありき」ですね。

黒い五輪と開発利権 高橋元理事と電通 本間 龍さん【山岡淳一郎のニッポンの崖っぷち】

※https://www.youtube.com/watch?v=xNqgjuD0ck4

 

石原は都知事12年間で随分と儲けたのだろう

スクショは今年年明けに石原が亡くなった時のTVの報道で石原の豪邸が「田園調布」となっているのを見て驚きました。

私の記憶では彼が作家から国会議員になって有名になりだした頃は自宅は世田谷区の成城にあると多くの雑誌が書いていました。

成城も高級住宅街ですが田園調布となるとちょっとランクが違います。田園調布も地名の頭に「世田谷」がつくとちょっと違うらしいですが、男兄弟4人がみな慶応なので、いろんな情報が耳に入りますが、都知事になるまでは成城だったような記憶が有ります。

と言うことは都知事時代に随分と「荒稼ぎ」をしたと言うことでしょう。途中まではしっかりと絡んでいた「神宮外苑と築地の地上げ」の「裏金」でしょうか?

石原家の相続税の納税に当たっては地元の税務署の担当者には厳格に調査してもらいたいものです。

 

結論;地上げをしやすくする為に手段を選ばず五輪を招致した

山岡氏の作成した年表です。ざっくり説明します。「築地の地上げ」については別の機会に譲ります。

 

2003年;早くも暗躍を始めた森喜朗

渋谷区に平田神社と言う神社が有ります。当時ここの神職は米田(まいた)勝安(2010年没)と言う人物でした。

早稲田大学の雄弁会で森喜朗の先輩で非常に仲の良い関係でした。

画像は平田神社、国学者の平田篤胤を祀る

米田氏が後輩の森喜朗に「神宮外苑を防災の拠点にしたい。その為に高層マンションを建てたい」と相談しました。

「防災の拠点」とはただの大義名分で「地上げをやって儲けようじゃないか」と言うことです。

森「じゃあマスタープランは電通に作成させましょう」と言うことで翌年に完成しました。

 

2004年電通の「地上げ企画書」が完成

「21世紀の杜」と言うタイトルで外苑100周年+東京五輪+神宮球場ドーム化の「3点セット」でこの時既に電通が「五輪招致」を入れています。

 

なぜ五輪招致が不可欠なのか?

ヒトラーのベルリン五輪じゃないけど「「国威発揚(こくいはつよう)」には東京での五輪開催が不可欠だ」と言えるからです。

また財務省を筆頭に中央12省庁が普段は出してくれない予算を「五輪の為だから」とごねれば簡単に出してくれるからです。

 

五輪を開催したら都知事の石原慎太郎は大儲け

出典;「黒い 都知事石原慎太路」一ノ宮美成+グループK21 宝島社 P169

例えば東京の皇居を中心として首都圏(隣県を含む)を囲むドーナッツ状の幹線道路が何本かあり「環状〇号線」と呼びますが首都圏は車が多いので渋滞が酷いです。

渋滞を解消する為にはできるだけ距離を延ばさなくてはならない。1m延ばすのに工費が最低1億円かかるのです。

 

五輪なら国が予算を出してくれる

渋滞解消の為に環状線を100km伸ばそうとしたら100億円工事費が必要です。都の予算では到底賄えません。

「五輪の為に」とごねれば国土交通省が100億円出してくれます。

なぜなら、ただ「環状線を延伸させてくれ」なら東京都と言う「一自治体だけの問題」ですが

「五輪の為」と言う理由をつければ「国家行事の為だ」と言う「大義名分」、「水戸黄門の御印籠」が出せるからです。

 

都知事も政治家も無報酬では動くはずがない

ボランティアではないですから。工事をするのはゼネコンです。石原は羽田空港2期工事などで鹿島建設との人脈が露骨に強くて有名でした。

鹿島建設に発注する時100億円を渡すと必ず石原にバックマージンとして10億円以上キックバックされるか「裏金」として還流します。

 

2009年招致合戦はなぜリオに負けたのか?

「嘘がばれた」からです。石原がTVで連呼した「もっとも金のかからない五輪」「コンパクトな五輪」は大嘘だったのです。

「70%は既存会場」でやれると立候補ファイルに載せました。

画像は電通に作成させた2016年東京五輪の立候補ファイル、8億円も電通に金を払ったそうです

 

IOC委員の事前視察で嘘がばれた

当時、東京都の五輪招致に反対していた市民グループの新日本スポーツ連盟東京都連盟の井上宣(たかし)事務局長が来日したIOCの視察委員の一人から「ここは既存施設じゃないよね?」とこっそり指摘されて実はみんなばれていたからです。

※https://www.youtube.com/watch?v=dE5737p4AaI

それで2013年に再度招致合戦に挑む時「もう嘘がばれている。立候補理由は前回と同じだから9億6千万円でアフリカ票を買収するしかない」となったのです。

 

地上げは諦めなかった石原慎太郎と森喜朗

2004年7月に明治神宮を神社本庁と言う役所から脱退させて、独立の宗教法人にします。神社の総代は都知事の石原なので脱退させることは可能です。

独立宗教法人のメリットは規制が無くなり自由に敷地の売買ができます。地上げの準備です。

 

2011年国立競技場改築プラン

森喜朗がトップを務める全日本ラグビー協会とラグビー議員連盟が国立競技場の改築=建替えを提案します。

これで当初五輪を招致したら現在の国立競技場を「部分的な改修」で対応すると言った約束が反故になり「新築」する道筋が出来ました。

 

2012年都知事交代

2012年の衆議院選挙で石原が都知事の任期途中で衆議院議員に立候補したので都知事は退任して猪瀬直樹が都知事になりました。

そして2013年に2020東京オリパラの招致に成功しました。

 

五輪よりも「地上げ」の準備が粛々と進む

2013年に神宮外苑の建築の「規制緩和」が大幅に進んでビルの高さ制限が15mから80mまで大幅に緩和されました。

高層マンションやオフィスビルの建設が可能になりました。

 

2014年石原慎太郎落選、「五輪招致派」内のパワーバランスが変わる

2014年11月の衆院選で次世代の党所属の石原は落選しました。これで彼の安倍総理や官邸に対する影響力は無くなり、既に前年2013年の12月に都知事の猪瀬直樹は「徳洲会グループ資金提供問題と言うスキャンダルで辞任に追い込まれましたから、これで五輪組織委員会に対する「政治力」は石原ー猪瀬ラインは無くなり安倍ー森ー菅ラインに変わりました。

画像は「徳洲会5千万円事件」「カバン芸」とまで言われた都議会での有名シーン

 

2015年地上げのプレイヤーが決まる

東京都、JSC(独立行政法人日本スポーツ振興センター;文科省所管),明治神宮、伊藤忠、三井不動産で「基本覚書」を策定。イメージ図。ここに描かれている千本の樹木は全て伐採されるのでしょう。

作成;山岡淳一郎氏

 

石原、森、安倍、菅はなぜ五輪招致と強行開催に拘ったのか?

全ては「神宮外苑と築地のツーセットの地上げ」とそれに伴うバックマージンや裏金などの利権の為です。

石原は息子二人が自民党にいたので総理を狙わせるには金がいくらあっても足りませんでした。

 

皮肉にも唯一的中した予想

石原慎太郎は「もっとも金のかからない五輪」「開催すれば3兆円儲かる」と豪語しましたが3兆円と言う金額は当初予算をオーバーし国民と都民に負担させたものでした。もっとも金のかかる五輪だったのです。

記事トップの画像は「敗北」に終わった2006年の五輪招致活動

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