日本と東アジアの正しい安全保障
① 日韓関係「最悪」を脱して4年ぶりの正常化
朝日新聞デジタル
尹大統領、日韓関係「過去最高にできる」 閣僚らに協力策の実行指示
韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は9日、閣議で「少し前まで想像できなかったことがいま、韓日の間で行われている」と日韓関係の急速な改善を高く評価し、「互いに交流、協力しながら信頼を積み重ねていけば、韓日関係が過去に最も良かった時期を超え、新しい未来を開拓していけるだろう」と述べた。
尹氏は閣議で、7日の日韓首脳会談後の記者会見で、岸田文雄首相が徴用工問題をめぐって「心が痛む思いだ」と述べたことについても言及。
「暗い過去の歴史から目を背けずに真摯(しんし)な心で向き合えば、韓日両国が直面する困難を克服し、新しい未来を開くことができる」と述べた。
その上で関係改善による恩恵を「韓国の国民が体感できる」ようにすることが重要だとし、閣僚らに首脳会談で議論された多様な協力策を着実に推進していくよう指示した。
(転載ここまで)
※https://news.yahoo.co.jp/articles/101bf99be52f5a28bd0bccc237238952901a281d
以上
岸田さんは内政は見るべきものが少ないですが、こと外交に関しては運よく得点を重ねています。韓国の尹大統領のお陰です。
■尹錫悦(ユン・ソニュル)大統領の人となりについて
1960年生まれの63歳。韓国初の「官僚出身大統領」。検事任官後は順調に出世しながらも正義感の強さから、朴槿恵政権を批判して左遷されたりもしたが検事総長にまで登り詰めました。文在寅政権でも政権の腐敗を追及して、法務大臣から「職務停止」と言う異例の弾圧を受け検事総長を退任しました。保守派から「反文在寅のアイコン」とされ大統領選に出馬しました。
両親とも大学教授の家庭。実父の尹起重は韓国の経済学者(専門は統計学)で1965年の日韓基本条約締結後、1966年「日本の国費留学第一期生」として、一橋大学の大学院に留学しました。日本語が極めて堪能で日韓学術交流の中心人物となっています。実父の尹起重氏は、1931年生まれの92歳。延世大学名誉教授です。
尹大統領は、過去に「反日発言」をしたことが無いので有名で対立する野党の共に民主党から「親日派(チニルパ)」のレッテルを貼られて支持率が落ちました。大統領選の最中から「日韓関係の回復と安保・経済の関係強化」を訴えています。
晩婚で夫人の金 建希(キム・ゴンヒ)とは50代で初婚(2012年3月結婚、夫人は当時39歳)。年齢差は12歳。金 建希(キム・ゴンヒ)夫人は、1972年生まれの51歳。女性実業家。安藤忠雄(高卒初の東大名誉教授)と過去の面識があったかどうかはわからないが夫人は国民大学(韓国の私立大学)テクノデザイン学科の大学院で博士号を取得しています。
■日韓関係で「安倍のフタ」が取れた
対立候補だった「共に民主党」の李在明代表。大統領選後収賄や公選法違反など、数々の容疑が発覚して在宅起訴となっています。2022年5月の大統領選で文在寅の子分の李在明が大統領になっていたら、今頃朝鮮半島は「北主導」の南北統一で釜山に赤旗が立っていたでしょう。韓国と言う国は無くなり朝鮮半島そのものが軍事的脅威になっていたことは間違いありません。
■韓国初の官僚出身の大統領
元検事総長ですが現実主義政治家で大統領選の討論会の段階で、「半島有事の際は自衛隊に援軍に来てもらう可能性を排除しない」と明言して当選したのは立派でした。当選が決まってから矢継ぎ早に「日韓関係の正常化策」を打ち出していましたが、当選後一月半の7月8日に安倍がいなくなったのが大きかったです。自民党に「キングメーカー」として安倍がいる限り韓国国内の「反日感情」は沈静化しなかったでしょう。
■日韓間の棘が取れた
① 徴用工問題;韓国側の代位弁済、日韓基本条約の援助金で成長したポスコなどの韓国企業が元徴用工と遺族に支払う
② 歴史問題;岸田総理が韓国到着後に真っ先に顕忠院(朝鮮戦争での韓国軍の戦死者を祀る国立墓地)に参拝して韓国国民が喜んだ。
■三つの隣国のうち北朝鮮の対日脅威は無くなった
北朝鮮が日本に侵攻する為には38度線以南の韓国軍と在韓米軍を全滅させなくてはなりません。南北の軍事力は北が100万人、韓国軍と在韓米軍で60万と差がありますが、北の戦車や銃器は旧ソ連製など超旧式で実戦でちゃんと稼働するかどうかも疑問視されています。
■北は核兵器は持っているが実戦では使用できない
北朝鮮のミサイル発射実験と想定射程距離 2017年8月時点で既に米国本土西海岸のロサンゼルスは射程内で、シカゴを余裕でカバーしていると見られている(出典はロイター 2017年8月11日)
北朝鮮は核の開発には成功しているようですが技術力不足で未だ「小型化」できていません。小型化できないと長距離ミサイル(ICBM;大陸間弾道弾)の弾頭に搭載して「戦略核」、短距離ミサイルの弾頭に付けて「戦術核」にもできません。現状では結論としては北が保有する核爆弾は、実戦用の「兵器」として使えないのです。
■昨秋からの米韓合同軍事演習でビビりまくる金正恩
尹大統領の就任で「米韓関係」も安定して米韓合同軍事演習が昨秋から数回行われています。米軍は「死の白鳥」と呼ばれるB1B戦略爆撃機を投入しました。
★爆撃機の名称の前に「戦略」がつくと核兵器搭載も可能な爆撃機と言う意味です。
ステルス性能で核を積めるだけでなく厚さ60mのコンクリートの壁も貫通できる爆弾を搭載しています。この貫通弾を投下されたら平壌地下深くに建設された金正恩の隠れ家も危ないと言われており、米韓合同軍は後は金正恩に対する「斬首作戦」発動のタイミングだけを待っていると言われています。
■斬首作戦はどのタイミングで発動されるのか?
核爆弾の小型化には、その国の技術力にもよりますが、「小型化の為の核実験」が最低六回は必要だそうです。北朝鮮は既に、米国本土まで到達するICBM(大陸間弾道弾ミサイル)を持っています。このミサイルの先端部に「小型化した核爆弾」の搭載に成功した時がアメリカと北朝鮮に「核の均衡」=「恐怖の均衡」が成立します。「米朝間の核の均衡の成立」とは北朝鮮が軍事力で完全にアメリカと対等になると言う事です。言い方を代えたら、アメリカは北朝鮮に何をされようと文句を言えなくなるのです。
★「核の均衡」は核保有国の国家間に「理性と最終的な信頼感」がないと成立しません。
その意味で言えば、核大国の「米中露三国」の間では、根底には「最低限の信頼感と理性」が残っていると言えるでしょう。「核ボタン」を推したい誘惑を「寸止め」する理性があると言う事です。しかし、アメリカでなくとも中露も含めた世界の国で、北朝鮮の「金王朝」が「最低限の理性と遵法精神」を持っていると思う国は一国も無いでしょう。
■北朝鮮が次に核実験を実施した時が「斬首作戦」のトリガーとなる
「核爆弾小型化の為の核実験」を北朝鮮は既に三回行っていますがまだ小型化には成功していません。在韓米軍とペンタゴンは次に核実験をやったら「斬首作戦」を決行すると決めて、秘密裏に金正恩にも伝えているそうです。「いいか?わかってるな。四回目の核実験をしたらお前は終わりだからな」・・・こんな感じでしょうか。
■金正恩捕獲作戦
画像はイランの革命防衛隊のガーセム・ソレイマーニ司令官 2020年1月バクダット空港でアメリカによりドローン攻撃で殺害された(斬首作戦)。「アラブの春」=「民主化を標榜するアメリカの経済植民地化」が、シリアで起きた時に、プーチンを説得してサダト政権を支援する軍事介入で「アラブの春」と言うアメリカの侵略を終わらせた。それが原因でアメリカの標的にされた。トランプが作戦完了声明を出した。表向きの理由はアメリカ大使の殺害容疑。
アメリカはウサマ・ビン・ラディンやイランのソレイマーニ司令官は斬首作戦で殺害しましたが、仮に「斬首作戦」を実行しても「金正恩を爆撃で殺害する」と言う事ではなく、飽くまでも「生け捕り」にするそうです。実際に米韓両軍は合同軍事演習の一環として、金正恩にそっくりの体系の「アジア系の太った男」を「生け捕り捕獲」する訓練を韓国内で繰り返しているそうです(龍谷大学の李相哲教授談;ネット番組日テレ深層News)。
いずれにせよ「生け捕り」にした後は、アメリカが大好きな「戦犯裁判」でしょう。
■朝鮮戦争の再来は有り得ない
騙した金日成と、騙されたふりをして朝鮮戦争に参戦した毛沢東。心配されるのは北が突然38度線を突破して南下する時に中国の人民解放軍も参戦するケースですが私は有り得ないと思っています。理由は1948年北朝鮮成立以来の金王朝と毛沢東以来の中国共産党の「根強い相互不信」です。
金日成とスターリンは毛沢東を騙して参戦させました。「毛沢東の戦争」朱建栄 岩波書店に詳しく書いてありますが、金日成はスターリンとグルになって毛沢東を騙して中国を朝鮮戦争に参戦させました。毛沢東も騙されていることを知りながら止むを得ず敢えて参戦しました。多大な犠牲を払い、長男の毛岸英まで戦死したので徹底した金王朝不信になりました。
■朝鮮戦争以後の微妙な中朝関係
毛沢東以降歴代の中国共産党総書記は歴史的に「朝鮮属国感」が消えません。また金日成→金正日→金正恩三代も国内での幹部の粛清が絶えませんでしたが、粛清されるのはいつも「親中派」でした。金正日が金正恩に残した遺言が「中国は絶対に信じるな」でした。
晩年の金正日は、2010年5月の訪中時に胡錦涛からは婉曲に「距離を置きたい」と塩対応されます。温家宝首相からは大規模経済支援を断られます。父金日成以来、中国を裏切り続けた人生で中国側の積年の「不信感」は根強かった。その心は、北朝鮮軍が独断で38度線を突破して南下作戦を敢行したら、味方だと思っていた中国の人民解放軍に背後を突かれて、鴨緑江を越えて侵攻され首都の平壌を陥落させるという「悪夢」から逃れられないのです。
■北の核開発が習近平の金正恩不信を決定づけた
1990年代のミサイル開発までは中国も黙認していましたが核開発に成功して以来中国の「対北不信」が決定的になりました。何故なら北朝鮮がミサイルの先端に核を搭載させたら、核ミサイルを東京、NYや沖縄に撃ち込むよりたった200kmしか離れていない北京に撃ち込む方が距離的に近いからです。
■中朝決裂に追い込んだトランプとの米朝会談
2018年6月シンガポールで歴史的な米朝首脳会談が開催されました。習近平はメンツを潰されて恥をかきました。属国に「独自外交」をやられたからです。属国に外交権は有りません。日米関係も同じです。
■東アジアの孤児となった金正恩
2019年2月、ベトナムでの2度目の米朝会談。非核化で合意に至らずに決裂。この時に米朝の交渉は半永久的に終わり、中国からも見放されて金正恩と北朝鮮は東アジアの孤児となりました。
■プーチンは北朝鮮を助ける気もないし余裕もない
昨年ウクライナ戦争の勃発で、私が驚いたことは緒戦のロシア軍の動員兵力がたったの17万人だった事でした。第二次大戦の独ソ戦では640万人も動員したんですよ。但し独ソ戦では勝ったものの戦死者は世界最大の2700万人でした。
★ロシアは、独ソ戦の傷を70年以上引き摺り、二正面作戦が出来なくなったのです。
独ソ戦は、戦後のロシアの人口構成を変えてしまった凄惨な戦いでした。 2700万人もの戦死者を出したソ連は戦勝国となったものの人口の男女比が4対6になってしまいました。ちょうど働き盛りで「結婚世代」の20代~30代の男性の殆どが戦死したからです。日本で言えばちょうど「昭和一桁世代」の男性の殆どが戦死、または戦病死したことになります。人口構成で見ると大戦終了後は1928年(昭和3年)生まれの男性の減少率が高いです。更に1991年のソ連崩壊で出生率の高い中央アジアのイスラム系の国が分離独立していってしまいました。
ウクライナ戦争の緒戦に動員をかけたロシア兵は、主に日本や中国国境に近い極東地域勤務のロシア兵でした。日本は現行憲法上戦争できないので安心して引き抜いたのでしょう。それがウクライナの予想以上の善戦で大量の戦死者を出してしまいました。
■大東亜戦争末期も北海道侵攻を断念したソ連軍
大東亜戦争末期、巨大なソ連軍はたった42kmの宗谷海峡の渡海敵前上陸作戦を断念しています。米ソ冷戦中も46年間(ソ連崩壊が1991年)在日米軍基地も無い米軍も一人もいない北海道に侵攻することはありませんでした。
終戦も迫った1945年8月9日、ソ連は日ソ中立条約を一方的に破ってソ満国境から満州国や南樺太に侵攻してきました。満州国も南樺太も国境が陸続きだから攻め込めたのです。しかし陸続きで狭いエリアの南樺太を制圧するのに14日もかかり結局、北海道侵攻をスターリンは断念しました。理由は終戦の玉音放送後も勇敢に戦う日本軍に苦戦させられ、規模が小さく技術力もないソ連海軍は1945年5月のドイツ降伏後に、秘かにアラスカで米軍から艦船を貸与されて訓練を受けるのがやっとだったので本格的な敵前上陸作戦となる北海道侵攻に自信がなかったのです。
また独ソ戦の英雄でノモンハンで関東軍と戦って苦戦した経験のあるジューコフ元帥が、「対日敵前上陸作戦の危険性」をスターリンに説いて断念させたという話も有ります。
戦後の北海道の旭川駐屯の陸上自衛隊も1970年代、盛んにソ連の北海道侵攻が噂された時も、在日米軍の助けがなくとも稚内に上陸したソ連軍を陸海の自衛隊だけで独力で完全に海に叩き落す自信があったそうです。
★要するに巨大だった旧ソ連軍も最狭部がたった42km(英仏間のドーヴァー海峡は34km)の宗谷海峡を敵前上陸出来なかったのです。
■中国からもロシアからも見放された北朝鮮はアメリカとイギリスの格好のターゲットになる
アメリカ(背後にイギリス)にとってウクライナ戦争が現在の様に東部の局地戦で膠着して「勝者無き一進一退の戦況」が一番困るのです。何故ならアメリカの高価な武器が売れなくなるからです。苦労してせっかくプーチンを2014年のクリミヤ侵攻以来8年間も挑発してやっと先に手を出させた苦労が水の泡になるのです。
★「ウクライナが行き詰まる(アメリカにとって)」とアメリカの軍需産業が儲からなくなります。
米国からウクライナへの軍事支援
遂行型対空ミサイル「スティンガー」1400基以上
対戦車ミサイル「ジャベリン」5500基以上
自爆型ドローン「スイッチブレード」700基以上
155ミリ弾法(長距離砲)90門
最新ドローン「フェニックスゴースト」121機
偵察用ドローン「ピューマ」
5月10日発表の米国防総務省資料から一部抜粋
この時米英が次に狙うのは台湾海峡における中国VS台湾&日本の自衛隊(アメリカは出てこない)ではなく朝鮮半島でしょう。そう言う意味では「限定的な意味での第二次朝鮮戦争」は有り得ると思います。「限定的」と言ったのは中露も含めた大国を巻き込むことなく「北朝鮮の金王朝の崩壊」を狙った米韓連合軍の限定的な軍事作戦と言う事です。
しかしその時は北朝鮮軍VS韓国軍&在韓米軍ではなく、在韓米軍が消えて、戦うのは韓国軍&自衛隊3軍にいつの間にか変えられているかもしれません。
■「軍事的合理性」無き防衛予算倍増に断固反対
私が主張しているのは「安全保障に関するイデオロギーの問題」ではなく、世界史をベースにした「地政学的観点」若しくは軍事学の観点からの反対です。また防衛力強化に反対するのではなく金をかけずにコスパよくやれと言う事です。金をかけずに防衛力増強するには「独自の核武装」が最善の選択です。
それは処分に困り溜まっていく一方の青森県六ケ所村の核燃料再処理施設のウランを片っ端から「濃縮」すれば5千発の原子爆弾を短期間で製造できるという、既に国際社会も周知の事実から可能です。
核燃料として再利用できるウランとプルトニウムを抽出している。抽出されたウランやプルトニウムを「濃縮」すれば原子爆弾が製造できる。大学の原子物理学科の大学院生レベルの知識と技術で可能
ただし、拙ブログの過去記事の「サンフランシスコ講和条約の闇」でも述べた様に、第二次大戦後のアメリカの世界戦略の二本の柱は、米ソ冷戦の勝利だけではなく、日本に自衛隊と言う「最小限の自衛軍」だけを持たせて「核武装」させないこと、つまり二度とアメリカの軍事的脅威にしないことで、その「アメリカの強い意思」は現在も継続しています。その証拠が、現在やっと国会でも議論されるようになってきた「日米合同委員会」などです。
ですから国民に税負担を書けない「コスパの良い防衛力増強=独自の核武装」は「日米正常化」=「対米独立」を外交交渉で成し遂げた後にのみ可能なのです。
■日本を取り巻く隣国三国が同時に日本の驚異となることはない
日本に侵攻する可能性があると言われるのは
① 中国
② ロシア
③ 北朝鮮
ですが、この三国が軍事同盟を結んで互いに連携して同時に三方向から日本に侵攻を開始することは有り得ません。
■中朝露三国の抜きがたい歴史的な相互不信感情
先ず第一にこの三国が日本に侵攻する場合いずれも海を渡る必要があります。北朝鮮は国力のほとんどを陸軍、空軍に投入しており海軍力はほぼ無いと考えて良いでしょう。加えて、朝鮮海峡を渡って日本に侵攻する場合は半島の南半分の韓国軍を完全制圧しなくてはなりません。先程述べた様に中国と北朝鮮の間にそもそも信頼関係が無いので、連携した軍事作戦は不可能です。
■4380kmの長大な国境線を有する中露の相互不信
中朝露三国の間で4380kmと言う最も長大な国境線を有するのは中国とロシアです。戦前はソ満国境と呼ばれた中国東北部(旧満州国)とロシアの国境です。ロシアのプーチンが警戒しているのは、人口が希薄な極東シベリア地域に中国の農民が密入国して勝手に土地を耕して定着することです。中国国境に近いロシアの小規模な村で、気が付いたら住民は中国人ばかりになっていたという「人口侵略」も十分起こり得るでしょう。
また中国共産党政府は伝統的に「清朝末期」にアヘン戦争やアロー号戦争などで西洋列強から奪われた土地は何年かけても取り返すという執念が有ります。既に奪回した具体例では、国力も軍事力も衰えたイギリスから、交渉で香港島を返還させています。
1982年 英中香港返還交渉 返還を渋ったサッチャーだが、軍事力の行使と香港島への水の供給を断つという鄧小平に屈服してイギリスの永久領土だった香港島と九龍半島の返還に合意しました。香港返還に続いてマカオを領有していたポルトガルも本国の国力低下とともに海外の植民地の維持に関心を持たなくなり1984年にマカオを中国に返還しました。
まだ取り返していないのは、アロー号戦争のどさくさに紛れて帝政ロシアから「火事場泥棒」的に奪われた沿海州です。ロシアは帝政ロシア時代もソ連時代も一度奪った領土を外交交渉で返還した例は一件も有りません。となると残された選択肢は中国は戦争で取り返すしかないのです。
実際両国は冷戦時代の1969年にアムール川の支流のウスリー川の中州のダマンスキー島の帰属権を巡って軍事衝突を起こしています。あわや大戦争一歩手前まで行った1969年の中ソ国境紛争 当時は両国とも責任のなすり合いで終始したが、その後の証言で「中国側の計画的奇襲」だったことが判明しています。
その後、ソ連崩壊直前の1991年のゴルバチョフ時代から、ロシアになった2004年までの13年間に「中露の国境画定問題」は終了しましたがロシア側はアムール川等、国境を画する大河の中州同様の小島を三島、中国側に譲っただけで、中国側の不満は解消されていません。現在、ロシアは「小敵」のウクライナを攻めあぐねており、実態はロシアVSNATO(=米英)で十年やそこらでウクライナ戦争は終わりそうも有りません。
その様な状況下での、中露が連携して日本に侵攻するなどと言う事は4380kmと言う「長大な横腹」を無防備に中国に晒し続けると言うリスクを抱える事でもあるので「軍事的合理性」で言えばほぼ100%起き得ないと言っても良いでしょう。
以上






