イタリアに極右政権誕生⑨イタリアと中国

イタリアと中国

対中外交の微妙なバランス  「反中親台湾派」

この発言に対して中国は「余裕」で返しています。

報道官はコメントだけ発表したのでしょうか?ネット上にいつもの記者会見は見当たらないし、駐日中国大使館のツィッターに至っては先月のイタリア総選挙の開票日には呟いてもいません。

 

イギリスでトラス首相が誕生した時と対照的な中国の反応

※この原稿はイタリア総選挙で極右連合が勝利した後の9月末に執筆したものでありその時点でイギリスのトラス首相は退陣していないので「ポスト・トラス」の国際政治、英中関係の変化は予想していません。

リズ・トラスは親中政権として有名だったキャメロン政権の閣僚の時に、中国が香港に対する規制を強化するのに反発してキャメロン首相の対中外交政策を変更させた「筋金入りの反中政治家」です。

保守党党首選挙でトラス優位が確定した頃、タイムズ誌が物騒な記事を書いています。

トラス勝利を待っていたかのように中国も報道官が声明を出します。

画像は毛寧報道局長・・・前任の趙立堅報道官に比べれば非常にソフトで美人さんですが趙報道官よりは階級は上だそうです。どこか雰囲気が広末涼子に似ています。

画像は広末涼子

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022090600857&g=int

【北京時事】中国外務省の毛寧副報道局長は6日の記者会見で、トラス英首相の就任を前に「英国が中国に歩み寄り、両国関係を正しい軌道に沿って前進させるよう望む」と呼び掛けた。

中国は対中強硬姿勢を示すトラス氏を警戒。共産党機関紙・人民日報系の環球時報は同氏について、外相時代から「対中タカ派」だったと指摘し、保守党党首選の期間中も「中国脅威論を盛んに宣伝した」と批判的に紹介した。

(転載ここまで)

 

中国報道官(中国政府)の対伊、対英の温度差は何か

中国とイギリスの歴史的因縁

アヘン戦争以来の因縁です。あの戦争はどう見てもイギリスに「大義の無い戦争」でした。戦後の南京条約の結果、当時の清朝は香港を割譲させられて「半植民地化」の屈辱の歴史が始まったのです。

2019年~2020年の香港民主化デモ。独裁者習近平と中国共産党による民主化の弾圧と言う見方が安倍・菅政権以降、メディアを通した「公式見解」となっていますが、中国ウォッチャーの中には香港は習近平最大の政敵の江沢民率いる「上海閥」の牙城で、江沢民の弟分の曾慶紅のイギリスと組んだマネロンの「場」だったので、2018年以来習近平が規制強化を狙っていたという説も有ります。

画像は曽慶紅(右)と習近平(左)  かつては習が曽慶紅を「お兄さん」と呼んだ仲

その見方が正しいとすると「民主化と専制政治の打破」を錦の御旗にして習近平政権に揺さぶりをかけた米英の得意の「カラー革命」の一つだったとも言えます。

画像は香港民主化デモ  なぜか英国旗、ユニオンジャックが見える

★衰えたりと言えども未だ海軍力と核兵器を持っているイギリス

こう比較してみると中国は脅威を与える軍事力も影響力もないイタリアのメローニを歯牙にもかけていなかったようにも見えます。

 

一帯一路に参加したイタリアは中国がEUに打ち込んだ楔

2019年3月22日、習近平がイタリア訪問。

次いで2019年4月、北京で開催された「一帯一路国際協力サミットフォーラム」にG7で唯一イタリアのジュゼッペ・コンテ首相が参加しました。

当時イタリアは債務危機がくすぶり続け、若者の失業率が高く、アフリカからの経済難民を抱えて深刻な金欠病でした。

目先にちらつくチャイナマネーに我慢できなかったのです。

イタリアは中国とインフラ建設、トリエステ港整備、エネルギー・運輸・通信の分野で協同を謳い経済協力文書の署名をしたのでした。

画像は経済協力文書の署名を交わしたコンテ首相と習近平

アメリカとEUの警戒を呼んだ

当時野党党首だったメローニは「中国にイタリアの財産を切り売りすることになる」と言って一帯一路参加に反対しました。

その経緯もあって「対中強硬姿勢」を今も貫いていると言われます。

記事トップの画像はイタリア訪問した習近平とマッタレラ大統領

 

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