読者の皆様へ、「中国の権力者を斬る」シリーズは如何だったでしょうか?
原稿は2016年の秋時点の物ですが、「共産中国」の権力者たちの「天下取りのやり方」や「派閥抗争」「人民解放軍の実態」について、その本質は理解していただけたと思っています。
あれから、1年半、2017年10月の第19回党大会で、権力基盤が極めて脆弱(ぜいじゃく=もろい)と言われた、習近平が、石平氏や、陳破空氏らの、名だたる中国ウォッチャーの予想を覆し、権力の座を守り、向こう5年間の中共のかじ取りをすることが決まりました。
一週間かけた「密室の人事抗争」なので、どういうやり取りや、交渉が有ったか、詳細は分かりませんが,公式発表された、「政治局常務委員」(中国の意思決定を決める7人)の顔ぶれを見ると、留任したのは、国家主席の習近平と、首相の李克強の二人だけで、
残りの5人は、全て引退しました。
私としては、習近平の懐刀の王岐山と、反習近平の実力者の劉雲山が、排除されたのが意外でした。
クーデターで、失脚させられることもなく、見事に最高権力者のポストを守り抜いた、習ですが、目の上のたん瘤の、劉雲山を追放した代わりに、懐刀の王岐山を失いました。
★権力抗争の結果は、辛くも、習近平の「判定勝ち」というところでしょうか?
「無能」で「権力基盤が弱い」と定評の習近平ですが、向こう5年間、暗殺やクーデターで失脚しない限り、今や、目前に迫った、「米朝会談」「朝鮮半島の非核化」に、大きな影響を与えるのは、習であることに変わりは有りません。
その為に、敢えて、習近平が向こう5年間、権力を維持すると仮定して、「北朝鮮の非核化」「半島の南北統一の在り方」が、果たして、どの方向に向かうのか?信頼できる、チャイナウォッチャーの文献を解析して、自分なりの、シミュレーションで解析し、一定の結論を導きたいと思います。
★国内の政治は、全く去年の「モリカケ騒動」の焼き直しで、「言った、言わない」の空しい応酬ですが「米朝会談」「半島有事の可能性」「南北統一」は、直接日本の安全保障にかかわる問題なので、極力、わかりやすく解説しますので、新シリーズに是非、期待してください。
伏見顕正