書籍化しました
ブレクジット(9)|再びEUと英国
《第二次大戦後、イギリスと欧州大陸ECとの「微妙な関係」》
第二次大戦終了後、チャーチルは、1951年3月の英仏首脳会談で大戦の傷跡の深い欧州諸国の復興を願いつつも「イギリスはヨーロッパではない」と発言しました。
この真意は二度と欧州大陸で戦争は起きてほしくない。
何故なら、イギリスが巻き込まれるから。
しかし、イギリスはEEC(欧州経済共同体)には参加しない。
という意味だと解釈されています。
《イギリスのEC参加の前に立ちはだかったフランス大統領ド・ゴール》
そのイギリスも、1963年にEEC参加を申請します。
それに噛みついて、阻止したのが当時のフランス大統領のシャルル・ド・ゴールです。
理由は「イギリスをEECに入れると、アメリカの「トロイの木馬」となる」というものでした。
《JFKを顔面蒼白に追い込んだド・ゴールという男》
シャルル・ド・ゴールフランス大統領とは・・・Wiki
フランスの貴族、陸軍軍人、政治家。
フランス第18代大統領。第二次世界大戦で本国失陥後、ロンドンにロレーヌ十字の自由フランスを樹立しレジスタンスと共闘した。臨時政府で最初の首相となり、突然それを辞任してからもロスチャイルド家やシュナイダー家といった金融資本家と関わりながら経済政策を展開した[2]。
1959年には大統領に就任した(第五共和政)。
任期中アルジェリアの独立を承認し、フランスを核武装させたまま北大西洋条約機構から脱退させるなどした。
あまりにも有名な人なので詳細な説明は避けますが、
特筆すべきは彼の「外交政策」です。
ド・ゴール主義とは・・・・Wikiより
シャルル・ド・ゴールの思想と行動を基盤にしたフランスの政治イデオロギーのことである。イデオローグ達は「ゴーリスト」と呼ばれ、これは彼の姓であるド=ゴール(フランス語:de Gaulle)に由来する。
ド・ゴール主義の最も大きな主張は外国の影響力(特に米英)から脱し、フランスの独自性を追求することである。また、ド・ゴール主義は思想上社会や経済にも言及しており、政府が積極的に市場や経済に介入することを志向する。
外交|ド・ゴール主義
ド・ゴールの国際政治における主要な主張は国家の主権であり、その思想の実践としてNATOや欧州経済共同体(EEC)のような国際組織に対して、ある程度反対の立場を取った。
その基本的な信条は、「フランスの存続のためにフランスは外国に依存すべきではなく、フランスはいかなる外国の圧力に対しても従属すべきではない」というものだった。
この信条に基づき、ド・ゴール政権下のフランスは独自の核抑止力を作り、アメリカ合衆国への過度の従属を避けるためにNATO軍事機構からの脱退を行うこととなった。
米英とフランスの摩擦
米英との摩擦が最大に達したのは、1966年に、ド・ゴールがフランス軍をNATOの統合軍事指揮権下から撤退させ(ただしNATO自体からは脱退しなかった。
のち1992年には軍事部門への一部復帰、2009年には完全復帰)、NATO加盟国軍に対しこれらの軍がフランスの指揮下にない場合はフランスの土を踏ませないと決定したときである。この結果、NATO軍の総司令部はパリからベルギーのブリュッセルへ、NATO国防大学のキャンパスはパリからイタリアのローマへと、それぞれ移転を余儀なくされた。
この決定は西側諸国間における米国の主導権への反発であったが、同時に米国からも大きな反発を受けることとなった。米国は当時すでにフランスに軍を駐留させており、東側諸国へ対抗するために、フランスの軍事政策と外国政策と米国の政策が一致することを期待していたからである。
以上
ポイントは「西側自由主義陣営」にいながらの「反英米」といったところでしょうか。
独自核武装に踏み切ったのには面白い逸話があります。
現在もそうですが、アメリカの同盟国、特に核武装していない国にとっては、自国が核攻撃を受けた時に、アメリカが敵国に対して、核ミサイルで応戦して、「核抑止力」を発揮してくれるかが、最大の関心事となります。
アメリカと軍事同盟を結んでいて核武装していないのは、現在は日本と韓国だけです。
イギリスは核武装しています。
第二次大戦後、ソ連が核実験に成功し、「核攻撃能力」を保有した時に、フランスの安全保障が気になったド・ゴールは、訪米し、当時の大統領のJFケネディに「直談判」しました。
「フランスが、ソ連の核攻撃にさらされたときに、アメリカは自国の核で報復してくれるのか?」と。
ケネディは黙っています。
何故なら、今もそうですが、アメリカは同盟国が、核攻撃に晒されたときに、その敵国に対して、アメリカの核ミサイルで応戦、報復する気はさらさらないからです。
例えば、今日本にとって現実に「核を含む軍事的な脅威」を行使できるのは、中国共産党帝国とロシアです。
北朝鮮は、核は持っていることは確かですが、それを「小型化」して、弾道ミサイルの先端に装備できる段階に達しているかどうかは、未だ確認できないといわれています。
それほど「小型化」する技術は難度が高いのです。
中国の習近平の「軍事覇権戦略」は、中国海軍や、核ミサイルを発射できる潜水艦を「西太平洋」に進出させることです。
その為には、「第一列島線」といって、宗谷海峡から、北海道、本州、九州、沖縄、台湾が邪魔になります。
その障害を除去するために、中国人民解放軍が、日本のある都市に、日本を降伏させるために、核ミサイルを撃ち込んだときに、アメリカは、北京や上海に核弾頭ミサイルを撃ち込んでくれるでしょうか?
答えは「No」です。
何故なら、それをやれば、報復でアメリカの西海岸のロスアンゼルスやサンフランシスコの中国の核ミサイルを撃ち込まれ「際限なきエスカレーション」となるからです。
ですから、ド・ゴールに追及されたケネディは正直に「ソ連に報復はしない」とは言えずに沈黙したのです。
直感的に、アメリカの真意を知ったド・ゴールは更に激しい気迫で、追及したらケネディはとうとう顔面蒼白となったそうです。
米仏首脳会談は物別れに終わり、帰国後ド・ゴールが、フランス独自で核を保有する決断をしたのは当然でした。
《憲法改正が成就したらトランプは安倍総理に日本の核武装を要求してくるだろう》
米ソ冷戦以来、アメリカの意思は変わりませんから、現在の日米首脳の良好な関係から言って、参院選後、安倍政権が悲願の憲法改正が成就したら、トランプ大統領は、日本にも独自の核武装を要求してくるでしょう。
正直で率直な性格がトランプの良いところで、これが前任者のオバマやヒラリーの時は、中国と揉めていた尖閣諸島が「日米安保」の適用地域かどうかも中々明言してくれなかったじゃないですか。
歴史を左右に深く掘り下げながらまだまだ続きます。