書籍化しました
大英帝国の「復活」を未来永劫阻んだものは何か?①
①インドの独立
②毛沢東による「共産中国」の出現
①インドの独立
①については「先進工業国」というものは、安い原材料を仕入れて、加工しそれを売りさばく「巨大市場」が無いと成立しないのです。
その意味で、「植民地インド」は大英帝国の「生命線」であり、「生命維持装置」でした。
インドから、安い綿花を大量に仕入れ、それを世界に先駆けて、完成させた産業革命でで、安い繊維製品を大量生産する。
大量生産した繊維製品は、人口の多いインドで売りさばく。
★要するに、インドは大英帝国の為の安い原材料の供給地であり、巨大な市場の両方の役割を担っていました。
他に市場は無かったのか?
日本は、近代国家成立後、瞬く間に産業革命を成し遂げ、大阪は「東洋のマンチェスター」と呼ばれるほどの繊維産業都市となりました。
日本が繊維製品を売りさばいた市場は、植民地の朝鮮半島、台湾、満州国、中国大陸でした。
イギリスの繊維製品が東アジア市場に入り込む余地はなかったのです。
★面積の広い豪州という植民地があったではないか。という人もいるかもしれませんが、如何せん、人口が少ないので市場たり得ません。
ニュージーランドも同じです。
まさか、カンガルーやコアラに着せるわけにもいかないでしょう。
★「アヘン貿易」の利益を失った。
インド植民地のベンガル地方(現バングラディッシュ)で阿片栽培をやっていました。
これを、清国に売り捌いたことで、アヘン戦争を引き起こしたことは有名な話です。
イギリスの「阿片収入」は、諜報工作活動の資金にも使われた
イギリスは現在も世界に冠たる「諜報国家」です。
敵国の政府要人を寝返らせるためには「天井知らず」の報酬が必要です。
公安調査庁元第二部長の菅沼光弘さんが著書で言っていましたが、「あなたの国を裏切ってください」とお願いするわけですから「普通の大金」では、相手は転んでくれないのは当然でしょう。
先ず、阿片は、商品としてとてつもない利益率がある。
と同時に、その利益は、「天井知らずの工作資金」の原資となるわけです。
★戦力としての「インド兵」を失った。
イギリス本国は小さな島国で、人口も少ないため、大戦争の時陸軍が常に不足します。
局地的な戦闘では、イギリス陸軍だけで事足りますが、第一次大戦以降の広大な地域の「総力戦」では、兵員が足りません。
それを補ったのが植民地インドの「英印軍」です。
英印軍とは・・・・Wikiより
https://web.archive.org/web/20190613061810/https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8B%B1%E5%8D%B0%E8%BB%8D
英印軍は 1857年の第一次インド独立戦争の後にイギリスによって創設された。 これより以前にはイギリス東インド会社が自身で軍隊を保有しその収益から維持していた。
インドのイギリス統治の間、英印軍はインドのみならず他の地域でもイギリス本国にとって有用であることを(とくに第一次世界大戦および第二次世界大戦の間に)証明した。
第二次大戦の最盛時には、250万人にも達していたんですね。
この軍事力も、インドとパキスタンの独立によってすべてを失ったわけです。
②毛沢東による「共産中国」の誕生
アメリカとともに、膨大な資金とマンパワーで支えていた蒋介石の中国国民党軍が、毛沢東との「国共内戦」に敗れて、台湾に逃亡しました。
このことは、巨額の「先行投資」が全て無駄になると同時に、「阿片市場」としても、中国大陸を失ったことを意味します。
★まさに、イギリスにとってインド植民地は「打ち出の小槌」であって、それなくして、大英帝国という世界帝国の維持は、経済面でも軍事面でも不可能だったことが明白です。
下記の本は、大学時代に読んだ本ですが、イギリスという欧州の島国が、インドという物産の豊富な植民地を持つことにより、楽して金儲けして、次第に「堕落」していく様を描いた名著なのでお勧めします。
続きます。