小池百合子と暴力装置
「女帝 小池百合子」は、著者の石井妙子さんが、4年間と言う時間を割いて、小池百合子と父親の小池勇二郎に関する膨大な資料を読み込み、100人以上にインタビューし、その結果を厳しく「検証」しながら書いたノンフィクションです。
彼女には、小池百合子に対する「私怨」も「偏見」もなく、67年間の人生をファクト(真実)を時系列的に述べながら、「日本の政治史における「異形の女」」を淡々と描いています。
スポンサードリンク
私が、読了後、著者の石井妙子さんに「脱帽」するしかなかったのは、あの440項に及ぶ大著の中で「価値判断」をほとんど全く挿入していないことです。
価値判断とは
コトバンク
ある事柄について、主観の評価による是認あるいは否認を言明する判断。
「この鳥は青い」は事実判断だが、「この鳥は美しい」は価値判断。
出典 三省堂/大辞林 第三版について 情報
著者は淡々とファクト(真実)を積み上げながら「小池百合子「的」処世術」の、道徳的か、道徳的でないか、政治家としての資質があるかないかの「価値判断」は読者に委ねているのです。
石井妙子さんは、「女帝 小池百合子」が爆発的なベストセラーになってから、TVが「学歴詐称問題」を見て見ぬふりを続ける中、様々なウェッブ上の雑誌に呼ばれて対談を精力的に行っています。
その中で、特に「出色(しゅっしょく;際立ってすぐれている)」のが下記の対談です。
近藤 大介,
日本のジャーナリスト。週刊現代元編集次長、特別編集委員、現代ビジネスコラムニスト。
明治大学国際日本学部講師(東アジア国際関係論)
人間・小池百合子のウソをウソと見抜き、正攻法で著した初の著作
「学歴詐称疑惑」再燃の小池百合子…その「虚飾の物語」を検証する
『女帝 小池百合子』著者が真相を語った
近藤 大介,
石井 妙子
近藤:(前半略)
小池百合子氏は、生まれてこの方、一体いくつのウソをつき続けてきたのだろうと、石井さんの本を読みながら数えていったものの、50くらいまで来てやめました。
「嘘八百」という言葉があるけれど、本当にこの本には800くらいのエピソードが詰め込まれているかもしれません。まさに「虚飾の政治家」です。
近藤: 中国には「ウソも100回つけば真実になる」という言葉がありますが、小池氏の場合、ウソの上塗りで自己破綻していくということですね。
でもあることに関して、最初にウソが小池氏の口から飛び出した時は、マスコミも喜んで報道したりするわけで、われわれも自戒しないといけません。その意味で本書は、人間・小池百合子のウソをウソと見抜き、正攻法で著した初の著作と言えます。