書籍化されました
《平壌の「配給の遅滞」は1990年代後半の「大餓死時代」も無かった異例の事態》
1994年の金日成死後、北朝鮮は深刻な経済危機に見舞われます。
直接的な原因は
- ・1995年の大水害
- ・自然災害
と言われていますが、無理な「段々畑の開墾」と「肥料の大量投下による地力の低下」もあり、1996年には「食料の配給」が完全に停止しました。
その結果、国民の餓死者が350万人、この時期から有名な「脱北者」が相次ぎます。
しかし、この時も「平壌の「食料配給」」が滞ることは有りませんでした。
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《「国連安保理の対北朝鮮制裁決議」の効果と「新型コロナの蔓延」が原因》
小池・エジプト・北朝鮮・仏の黒い繋がり④対北朝鮮国連制裁決議
過去記事の小池百合子とエジプトー北朝鮮の関係で説明した国連安保理の対北朝鮮制裁決議が効いているのです。
特に2017年に出た3本の国連制裁決議が強力に北朝鮮を締めあげています。
主な制裁項目をかいつまんで取り上げますと
決議2371
- 北朝鮮との新たな合弁企業や共同事業体の原則設立禁止。
- 北朝鮮からの北朝鮮原産の石炭輸出禁止。
- 北朝鮮からの海産物の輸出禁止。
- 北朝鮮からの鉛および鉛鉱石の輸出禁止。
- 各国に派遣された北朝鮮労働者の総数を決議採択の日を上限に制限。
決議2375
- 北朝鮮船籍の船舶に対して、禁制品を船舶間で受け渡すこと(瀬取り)を禁止。
- 北朝鮮に対する、コンデンセートおよび液化天然ガスの供給禁止。
- 北朝鮮に対する石油精製品の供給を、年間上限200万バレルに制限。
- 北朝鮮に対する原油の供給を、決議採択の日から1年以内に供給した量までに制限。
- 北朝鮮からの繊維製品輸入禁止。
- 北朝鮮人労働者の受入禁止。ただし決議採択以前に結ばれた契約は除く。
- 制裁委員会が承認した場合を除き、北朝鮮との合弁事業禁止。承認されなかった既存の事業についても解散。
決議2397
- 北朝鮮に対する原油の供給上限が数値で定められ、年間400万バレルまたは5万トンとなった。
- 北朝鮮に対する石油精製品の供給上限が年間50万バレルまたは5万トンに引き下げられた。
- ・北朝鮮に対するに対する統一システム番号72類~89類に該当する全ての品目の供給禁止
- ・北朝鮮からの統一システム番号、
第7類「食用の野菜、根及び塊茎」、
第8類「食用の果実及びナット、かんきつ類の果皮並びにメロンの皮」、
第12類「採油用の種及び果実、各種の種及び果実、工業用又は医薬用の植物並びにわら及び飼料用植物」、
第25類「塩、硫黄、土石類、プラスター、石灰及びセメント」、
第44類「木材及びその製品並びに木炭」、
第84類「原子炉、ボイラー及び機械類並びにこれらの部分品」、
第85類「電気機器及びその部分品並びに録音機、音声再生機並びにテレビジョンの映像及び音声の記録用又は再生用の機器並びにこれらの部分品及び附属品」、
第89類「船舶及び浮き構造物」に該当する品目の輸出禁止
- 北朝鮮が漁業権を他国に販売等することを禁止。
- 加盟国の管轄内で利益を得ている北朝鮮人と海外の北朝鮮人労働者を監視する
- 北朝鮮政府の安全監督員の24ヶ月以内の国外追放。
- 制裁逃れが疑われる船舶に対する保険、再保険サービスの提供禁止。
- 制裁逃れが疑われる船舶の船籍剥奪および再登録禁止。
また、加盟国に対して凍結対象となっている船舶を発見した場合の通報を義務付け、自動船舶識別装置を切るまたは装置の作動要求を無視する船舶の監視強化、北朝鮮に対する中古船の売り渡しを防止するよう要請した。
さらに、北朝鮮がこれ以上核実験やミサイル発射の挑発行動を行った場合は原油供給の更なる規制などの措置を取ると警告した。
具体的な措置を明記して警告したのは初めて。
これは凄いですね~
具体的に細かい「品目」まで指摘して、北朝鮮との輸出入、貿易を禁止しています。
《この結果北朝鮮の輸出が90%激減して「外貨(米ドル)」が枯渇した》
今まで、年平均300億米ドル輸出で稼いでいたのが、2018年と2019年に30億米ドルまで激減した。
北朝鮮は国内で農産物を自給できない、産油国でもないから原油を買わなくてはならない。
農産物や原油を輸入するためには「外貨=米ドル」が不可欠なのです。
しかし「輸入決済」用の外貨が90%も激減してしまったのです。
現在の北朝鮮は国連制裁決議で「外堀」を埋め立てられた大坂城同様なのです。
《泣きっ面に蜂の「平壌新型コロナパンデミック」》
昨年末、中国の武漢で「新型コロナ」が発見された際に、北朝鮮は今年一月にロシア同様、真っ先に、中朝国境を遮断して、勝手に「新型コロナゼロ宣言」をしていました。
しかし、今年一月、中朝国境を封鎖した時に、北朝鮮国内には既に「大量の中国人観光客」が入国していました。彼等から、平壌市民は大量に「新型コロナウィルス」をうつされていたのです。
そして「春節」の時に、中国に駐在していた北朝鮮高官たちが一斉に、平壌に帰国します。彼らがまた中国から「新型コロナウィルス」を平壌に持ち込んだのです。
《首都の平壌が「巨大なクラスター」と化した》
そもそも「先軍政治」で、国民が何百人餓死しようとも、「核開発」「長距離弾道ミサイルの開発」「大量破壊兵器の開発」を優先して、国内の「医療体制」「防疫体制」など二の次でした。
「検査体制」が無い、検査キットすらない、「急性肺炎状態」で死んだ人を後から「新型コロナの死者」に追認しているだけです。死者が1万人を超えて朝鮮人民軍の兵士も多数感染死しているそうです。
《とうとう「儒教」の教えを破って「火葬」を始めた》
「医療後進国」で「医療知識」も無いので、有るのは「恐怖」だけです。従って「急性肺炎症状」で死んだ人は儒教では本来「土葬」だったのに全て「火葬」にしているそうです。
《元々「感染症」に対して脆弱(ぜいじゃく;もろい)だった北朝鮮》
国を挙げて疫病撲滅に奔走している姿が目に浮かぶ
現代ビジネス|新型コロナが蔓延している可能性
7/20(月) 7:01配信
実際、北朝鮮の内情は火の車のようだ。
その最大の原因は、新型コロナウイルスをはじめとする疫病の蔓延だ。
労働新聞(電子版)は13日、北朝鮮各地の非常防疫指揮部が、1月末に導入した国家非常防疫体系を厳格に維持する対策を立てていると報じた。国境の完全封鎖を強化するほか、搬入された物資の検疫徹底を進めるという。
海岸と河川の防疫学的監視を強化し、鳥など動物の移動にも注意を払い、保健機関は夏休み期間に学生の検診を計画的に行うとした。まさに国を挙げて疫病撲滅に奔走している姿が目に浮かぶ。
アフリカ豚コレラの再流行の兆しにより国境閉鎖、豚が全滅
7/20 北朝鮮が「新型コロナ蔓延で窮地」の可能性…金与正の言葉から読む
北朝鮮経済への深刻な打撃
また、北朝鮮は、経済状況の悪化に耐えかね、7月1日から中朝国境地帯の物資往来を再開する動きを見せた。
ところが、アフリカ豚コレラの再流行の兆しが出たため、同6日に再び、国境を閉鎖したという。
北朝鮮では昨年もアフリカ豚コレラが大流行し、韓国の国家情報院が昨年9月、平安北道(ピョンアンブクド)では豚がほぼ全滅したと国会に報告している。
豚コレラも来襲
ブタのウイルス性疾病である。ブタ及びイノシシに特有の致死性の高い病気であるが、ヒトには感染することはない。
移動制限のため経済に深刻な打撃
疫病による国境閉鎖や移動制限は北朝鮮経済に深刻な打撃を与えている。
現在、中国に主に頼ってきた小麦粉や食糧油などの食糧品は、党や軍幹部のために緊急物資として臨時に輸入されている。ただ、中国は物資を北朝鮮にトラックで陸送する場合、トラック運転手が中国に戻った後で防疫措置を受ける必要があり、労働時間が制約を受けるとして、通常の数倍の運送費を要求しているという。
軍事行動に制限
そして、こうした疫病の蔓延は、北朝鮮の軍事行動にも影響を与えている可能性がある。パラチフスが流行した両江道では、北朝鮮軍にも流行が広がり、多数の軍人が死亡したという。
軍事演習も控えめに
北朝鮮軍は昨年12月から今年の春にかけて実施した冬季訓練に続き、7月から定例の夏季訓練に入った。
10月10日の朝鮮労働党創建75周年で行う軍事パレードの訓練も行っている模様だ。ただ、疫病の流行が影響しているのか、大規模な軍事演習などは行われていないようだ。
現在、確認されている範囲では、4月14日に日本海側の江原道(カンウォンド)で数発の対艦巡航ミサイルを発射した訓練以降、目立った動きはみられない。
パラチフス
概要
細菌の一種であるサルモネラ属のチフス菌、またはパラチフスA菌によって引き起こされる感染症。
チフス菌の感染で起こるものを「腸チフス」、パラチフスA菌の感染で起こるものを「パラチフス」と呼ぶ。主に開発途上国を中心に、東南アジア、中南米、アフリカなど世界各地で発生し、流行を繰り返している。
人間のみに感染し、患者や保菌者(病原体を体内に保有しているが感染症が発症していない人のこと)の便や尿で汚染された食品や水を摂取することで拡散する。
潜伏期間は2週間前後で、発熱、下痢または便秘、まれに腸出血を起こす。
※続きます。