書籍化されました
《何故、1983年の衆議院選挙に立候補しなかったのか?》
中曽根政権の1983年12月11日に衆議院選挙が行われています。
その直前に、ロッキード事件の一審判決が有ったので「田中判決解散」と呼ばれました。
この選挙では、現在自民党幹事長の二階俊博が初当選しています。
同じ年の7月の補欠選挙では故野中広務も当選しています。
二人とも田中角栄の「最晩年」に薫陶を受けた弟子で、自他ともに「田中学校の生徒」を自認しています。
「自分も田中角栄の弟子」を名乗る石破に対して、二階幹事長は、「あいつは、只の事務員だったんだ」と馬鹿にしています。
今回の総裁選でも、二階幹事長に「応援お願いします」と訪問したそうですが、「普段、挨拶にも来ないで、こういうときだけ来てもダメだ(怒)」と叱責したそうです。
スポンサードリンク
《事前の想定より岸田文雄に議員票が「20票」流れた理由》
ニッポン放送 NEWS ONLINE /
田崎史郎氏「今回の総裁選はそもそも“石破潰し”」その背景となった積怨とは
2020年9月16日 13時54分
安倍首相の周りの人々が岸田という名前を書いた
辛坊)14日の投票行動で言うと、事前に想定されていたよりも岸田さんに国会議員票が20票くらい上乗せされていますよね。
田崎)24票ですね。
辛坊)私は思うのですが、この24票の正体っておそらく永遠に明らかにならないと思うのですが、例えば安倍さんとか森さんとかは最後に岸田さんに入れたのではないかと思うのですけれども。
田崎)そこまでは言いませんが、安倍さんの周りの人たちが入れた可能性は高いですね。
辛坊)そこで私が思うのは、岸田さんを応援したいというよりも、とにかく石破さんを余程嫌いなのだと思うのです。
田崎)両方ですよ。今回の総裁選はそもそも石破潰しなのですよ。安倍総理が岸田さんではなくて菅さんの擁立に動き出したというのも、あの段階では岸田さんは石破さんに勝てないと。だから、石破さんに勝てる候補を探さなくてはいけないということで、菅さんを擁立していく方向に流れていくのです。そして、今回いざ投票になったときに菅さんがとるのはいいのですけれども、石破さんが岸田さんよりたくさんとりそうだとなったときに、これは岸田さんの票を上乗せするしかないということで、安倍さんの周りの方々が岸田という名前を書いたのだと思います。
辛坊)これはどうなのでしょう。組織的に誰かが主導して行われたのか、かなり自発的に行われたのかどちらだと思いますか。
田崎)僕は、幾分、誰かがやろうと言ったのだと思いますよ。
辛坊)こういうときに音頭を取れるのは限られていますよね。誰ですかね。
田崎)限られていますね。しかし、安倍総理自らそれをやるのはリスキーですから。安倍さんの意思を体現できる誰かがやって、一方で自主的に岸田さんに投票された方もいるのだろうと思いますね。石破氏は総理の人事権を全面的に否定してしまった
辛坊)背景にあるのは、石破さんがそれだけ国会議員に嫌われているということなのでしょうけれども。これ田崎さんは言いにくいかもしれませんし、私もいろいろなところで話を聞くのですが、田崎さんが見るところで石破さんがここまで嫌われている理由はなんだと思いますか。
田崎)やはり批判しすぎたことですね。安倍総理は2012年の総裁選の後、石破さんを幹事長に据えるわけです。処遇したわけです。そして、幹事長を2年やらせているのです。
その後、ちょうど平和安全法制を前にして安全保障担当で防衛大臣をやってほしいと。そのときに石破さんは安全保障に対する考え方が違うからと断るのです。そして次に地方創生担当大臣をやってくださいと言われてそれを受けるのです。そして、今度地方創生担当大臣をもう1回やってくださいと言われたらそれを断ってしまったのですね。安倍さんの人事権を断るということで総理の人事権を全面的に否定してしまったわけです。
そしてやめた後、ずっとことあるごとに政権批判を繰り返しているのです。だから、ある社の社長が言われていたのですが、どこの会社でも自分を批判ばかりしている人を後見に据えたりしないと。そういうことだろうと思いますね。
辛坊)今回党員票でも菅さんへの流れができて、あれを見る限り石破人気というものの正体は結局アンチ安倍の受け皿だったということで、安倍さんがいなくなるとアンチ安倍の存在感自体がなくなっていくという、結局そういうことだったのではないかと。
田崎)そういうことですね。それがよりはっきり現れているのは国会議員票ですよね。2年前の総裁選のときに安倍総理と石破さんが1対1で争って、石破さんには73人の国会議員が投票したのです。しかし、今回は26人なのですよ。そうすると3分の1くらいに減っているのです。おそらく73人から26人引いた人たちはアンチ安倍の人たちで、その人たちが石破さんに乗っていた。それを本人が少し勘違いしたのではないかと思いますね。
辛坊)なかの1人に、例えば小泉進次郎さんは前回石破さんに入れて今回菅さんに入れたまさにその1人ですよね。
転載以上
私が、既に書籍化した過去記事で、安倍総理の突然の辞任当時に「今回の自民党総裁選の狙いは「石破潰し」だ」という読みを政治評論家の田崎史郎が証明してくれた形です。
《自民党の国会議員の誰もが相手にしない石破茂の「敗者の弁」》
(石破茂の敗者の弁)
「3位の石破氏は、68票にとどまった結果について「厳しい中で『石破』と書いていただけることはありがたい」と語った。全国一斉の党員投票が見送られたことには「きちんとした選挙期間、党員全てに投票権があってほしかった」と不満も漏らした。」
【今回は、前例を破って3都道府県を除いた「党員・党友」による「予備選挙」が行われた】
・・・・北海道、新潟、秋田以外の44都府県で、「予備選挙」が実施されました。その「予備選」の集計結果の「割り振りのやり方」に、各県連の判断によって違いが有ったようです。
【「ドント方式」より「勝者総取り方式」を採用した県連が多かった】
ドント方式とは・・・・Wikipediaより
政党名簿比例代表において、議席を配分するための最高平均方式のひとつである。この方式はベルギーの数学者ヴィクトル・ドントから名づけられた。配分法は、トーマス・ジェファーソンが、有権者数に基づいて各選挙区に議員定数を割り当てるために考案したジェファーソン方式と同等である
この制度は、各政党の1議席あたりの得票数順に議席を割り当てることに主眼を置いている。
日本でも参議院選挙の各政党の「非拘束名簿」の「比例候補」の票の配分に用いられています。
公式が有るのですが、数式にアレルギーを感じられる方もいると思うので省きます。
《千葉県連のケースで見ると》
予備選の得票数は
菅義偉・・・・・1万998票
石破茂・・・・・ 7059票
岸田文雄・・・・ 834票
有効投票合計・・1万8891票
菅:石破:岸田=58:37:4ですから、千葉県連に与えられた3票は、菅が2票、石破が1票となるところでしたが、「勝者総取り方式」を採用したので、菅義偉が「3票総取り」となりました。
首都圏では、同様に神奈川県、埼玉県、東京都も「勝者総取り」方式であり、これらの都県の地方票は全て菅氏に投じられました。
得票数に応じて3票を割り振る「ドント式」を採った県連のうち、宮城、滋賀では菅氏が2票、石破茂元幹事長が1票をそれぞれ獲得。山形は3候補が1票ずつを分け合いました。
「勝者総取り」方式は、アメリカ大統領選でも州ごとの選挙人選出に用いられています。
2016年のアメリカ大統領選では、トランプ大統領が民主党のヒラリー・クリントン候補より300万票近くも少ない得票であったにも関わらず、「勝者総取り」の接戦州の多くで選挙人を獲得したため、選挙人数では大差で勝利を収めました。自民党総裁選に置き換えると、議員票に比べて比重の小さい地方票の声を、より大きく増幅させる効果があったと言えます。
《「勝者総取り方式」は、派閥が19人しかいなくて国会議員票ではあっとうてきに「不利」だった石破茂にとっては「ドント方式」より相当有利な方式のはずだった》
朝日新聞や共同通信の「事前世論調査」では「地方票に強いはずだった」石破茂にとっては「ドント方式」でやるより、余程有利で「下駄をはかせてもらった」ような自民党総裁選でした。
「ドント方式」でやっていたら、石破茂が獲得した地方票は今回の42票よりもっと少なかったでしょう。
これで負けたらどんな言い訳も通じませんよ(怒)