菅おろし①自民党の「自浄能力」が試される時
※出版されました
《政治家にとって「言葉」とは何か?》
菅内閣ができ、10月26日から臨時国会では、「学術会議問題」で、野党から追及される総理は、「御答えを差し控える」との答弁が朝日新聞によると2020年11月9日現在で既に80回に達したそうです。
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《日本学術会議の「任命拒否問題」は「民主主義の基本的な手続き」を無神経に踏みにじっている(怒)》
日本学術会議の任命拒否とは・・・・Wikipediaより
2020年9月、内閣総理大臣の菅義偉が、日本学術会議が推薦した会員候補のうち一部を任命しなかった問題である。現行の任命制度になった2004年以降、日本学術会議が推薦した候補を政府が任命しなかったのは初めてのことである。
任命を拒否された推薦者
任命されなかったのは以下の6人である。6人は安全保障関連法や特定秘密保護法、普天間基地移設問題などで政府の方針に異論を唱えてきた。
• 芦名定道 (キリスト教学者・京都大学大学院文学研究科教授)
• 宇野重規 (政治学者・東京大学社会科学研究所教授)
• 岡田正則 (法学者・早稲田大学大学院法務研究科教授)
• 小澤隆一 (憲法学者・東京慈恵会医科大学教授)
• 加藤陽子 (歴史学者・東京大学教授)
• 松宮孝明 (法学者・立命館大学法務研究科教授)
時系列
2020年
• 8月31日 – 日本学術会議の事務局が候補者105人の一覧表を安倍晋三首相(当時)に提出した。
• 9月16日 – 安倍晋三首相が退任。菅義偉自由民主党総裁が第99代内閣総理大臣に任命され菅義偉内閣が発足。
• 9月28日 – 内閣府から日本学術会議の事務局に、任命対象者の名簿が送付される。内閣府は6人を除外し99人を記載していた。
• 10月1日 – 加藤勝信官房長官は記者会見で、会員の一部を任命しなかったことを明らかにした。
• 10月1日 – 99人が会員に任命された。また、梶田隆章が会長に選出された。
• 10月2日 – 加藤勝信官房長官は記者会見で、人事を見直す考えがないと述べた。
《日本学術会議の「組織としての在り方」「運営方法」に問題があるのならば、任命拒否をする前に、先ず国会で議論をするのが「民主主義国家」のルールです(怒)》
この問題がニュースで大きく取り扱われるまで、国会で野党から「追及」されるまで「日本学術会議」なる組織の存在そのものについて知らなかった人が多いと思います。
私もその一人です(笑)
日本学術会議とは・・・・Wikipediaより
日本の国立アカデミーで、内閣府の特別の機関の一つ(2020年現在)。日本の科学者の内外の対する代表機関であり、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする(日本学術会議法 第2条)
特別の機関(とくべつのきかん)とは・・・・・Wikipediaより
行政機関に設置される下部組織の一つであり、内閣府、中央省庁、委員会に特に必要がある場合に設置される。 外局である「庁」にするほどでもなく、外局よりも一段階弱い立場の組織を設置したい時に「特別の機関」とすることが多い。逆に、さらに弱い立場である審議会等を一段階強い立場の組織に格上げしたい時にも「特別の機関」とする例もある。「の」を省いて「特別機関」と略すことはなく、必ず「特別の機関」と称される。
《日本学術会議は「組織」としては「国税庁」より「やや下位」で会員は学者とはいえ「特別職の公務員」なので「都知事」並みの高位にあります》
■経費は国の予算で負担されますが、活動は政府から独立して行われます(日本学術会議法 第1章の第1条・第3条
要するに「高度な自主性」を保証されているわけです。
■「内閣総理大臣が所轄し、」とは、日本学術会議の「国家の行政組織」としての「位置づけ」が、行政の長としての内閣総理大臣に「ぶら下がっている」というだけで、「内閣総理大臣に従属している」という意味では有りません。
所轄(しょかつ)とは
(1) ある範囲を担当、管理または支配すること、またはその範囲自体を意味する語。
・・・・・デジタル大辞泉
「管理または支配すること」・・・と有りますが、解釈は「支配」ではなく「管理」で、実態は「凄~く緩い管理」で、内閣総理大臣から見れば「関りがないわけではない」程度の「管理」です。
《辞任後インタビューを受けた安倍前総理の「認識」が歴代総理の「常識的な日本学術会議観」です》
国民投票法、今国会成立を 学術会議「完全民間に」―安倍前首相インタビュー:時事ドットコム (jiji.com)
安倍前総理が日本学術会議に触れた部分のみ引用すると、学術会議の任命拒否問題については、「(首相在任時)強い関心を持っていなかった。課題は認識していたが事務方に任せていた」と振り返り、会員の推薦名簿も見たことがないと語った。
と述べています。
《日本学術会議の会員の「人事権」は、学術会議という「特別の機関」に有り、総理大臣の「任命権」は「形式的なもの」です》
これは、テレビの国会中継を視聴された方、または民放のワイドショーを見られた方は既に理解されていると思います。
■日本学術会議が創設された1949年(昭和24年)当時の吉田茂首相に始まり、直近の中曽根内閣の1983年の「政府答弁」では一貫して「内閣総理大臣の会員の任命拒否」については明確に否定しています。
要するに「人事権無き任命権」です。
《「一貫した政府答弁」とは「確立した法解釈」です》
つまり、国会の衆参両院で審議して「日本学術会議法の改正案」を成立させなければ「任命拒否」は「違法行為」であり、対象が学者なだけに「学問の自由」の侵害に当たり「憲法違反」の誹りを受けても、仕方ありません。