為替介入にはゆうちょマネーが持つ米国債売却を活用せよ
もっと規模の大きい為替介入(ドル売り円買い)が可能だ
鈴木財務大臣も神田財務官もよく頑張ってくれてはいるが、合計9・1兆円+α(計3回、内1回は覆面介入)では規模が小さすぎる。
もっとインパクトが大きくて一発で逆転できる為替介入がある。
ゆうちょ銀行とかんぽ生命が保有する米ドル債を市場で売ればよい
米ドル債は当然米ドル建です。これを市場で売却すれば、ドル売りの円買いで「為替介入」と同じ効果が有ります。
2022年3月期決算の(株)ゆうちょ銀行の有価証券報告書です。米国債と米ドル建投資信託で合計74兆円も保有しています。
市場のキャパに合わせて毎日波状攻撃的に全額売り続ければ1ドル150円から110円台まで円高に戻ると思います。
ゆうちょ銀行2022年3月期決算 有価証券報告書より
大きなメリットが2点ある
①会社経営上の「違法状態」を解消できる。銀行法1条1項の「預金者保護」を順守できる。
銀行法では外国為替などの極端な価格変動のある金融商品での運用を禁じています。米ドル建ての金融商品を全額売却する良いチャンスです。
②円安による「為替差益」で会社の収益が増える。前年度から約2兆円買増していると言う事は、今より相当円高の時に購入していますから、売却時に相当な為替差益が実現します。
今売らないと逆に米国債に評価損が発生する
現在ゆうちょ銀行が保有する米国債は既発債(過去に発行した国債)です。
今後もアメリカのFRBは利上げを続けるので利上げ後の新発債(新規発行の米国債)の方が表面利率が高くなり、市場では既発債が売られて新発債が買われるので、既発債が値下がりします。
かんぽ生命の米国債も売却すればよい
同様の理由でかんぽ生命の保有する米国債と米国株も売却すれば約4・3兆円の為替介入効果が期待できます。
かんぽ生命2022年3月決算 有価証券報告書より
ツィッターのフォロワーさんの質問に答えて
巷間よく言われるのは売却する素振りを見せるとアメリカ政府がボタン一発で残高をシステム上から消去してしまうという話ですが、ロシアは2014年のクリミア侵攻以来、今年2022年を期して保有していた米国債を全て売却して金に換えています。
中国もトランプに喧嘩を売られてからはそれまで保有していた米国債をほぼ全額売却しています。それが可能だったのは軍事大国として「対米核の均衡」があったからかもしれません。
ですから「ボタン一発で消去する」と言うのは脅しだったのかもしれません。株券も債券も昔は紙の現物がありましたから証券会社から引き出して家や銀行の金庫で保管することも可能でした。
ただ昔から外国株と外国債券は顧客が購入しても保管はカストディーと言う保管会社が現地(アメリカ)で保管しており、売却は出来ても引き出しは出来ませんでした。
しかも現在は紙が廃止されてデジタル(数字の羅列)になっていますから脅しでなく「ボタン一発」は可能でしょう。
私はゆうちょ銀行とかんぽ生命が保有する77兆円の米国債の売却による為替介入を主張しましたが
77兆円の米国債は帳簿には有ってもアメリカ政府のシステム上にあるバーチャルな有価証券なので、売ろうと思えば先ず日米財務大臣同士の「外交交渉」になるのでしょう。
「外交交渉」になれば過去は殆ど日本は負けています。数年前、国税が法人税を払わないアマゾン日本法人の銀行口座を押さえましたが、結局外交交渉で負けて押さえていた銀行口座を解放しました。
FRBとアメリカ財務省は日本の為替介入には協調介入はしないが黙認するという意思表示なので米国債売却OKかな?と思いましたが、財務省に聞いたところ日本郵政グループの米国債の売却による介入は考えていないと言う事でした。
未だに国が大株主なのでやれないことはないと思いますが、同様の発言をして不審死したポマード宰相もいたので政府としては「薄気味悪い」のでしょう。
本当にボタン一発で消せるかどうかやってみればいいと私は思います。やれば東京に巡航ミサイルを本当に打ち込む度胸があるのか試してみれば面白いと思います(笑)黙っているから舐められる面はあると思います。
日本郵政グループを筆頭に我が国の法人が保有する米国債はアメリカ政府の共有プラットフォーム上のデジタルな存在に過ぎません。
その意味で原油などの戦略資源との交換は不可能だと思います。ただ中露の様に保有米国債を売り切っている実績も有るので最後は「政治と力関係」になるのでしょう。
トップ記事の画像は24年ぶりの為替介入を発表する鈴木財務大臣(右)と神田財務官(左)