2023年癸卯の年⑤北朝鮮の消滅

「核保有国」だが有効な「核兵器」は持っていない北朝鮮

笹川平和財団の小原凡司研究員によると、核は保有しているが未だ、火星17号の様なICBM(大陸間弾道弾)の先端部分に装着できるような「小型化」には成功していないそうです。

ICBMに搭載できないと、アメリカや韓国、日本、などの敵国に脅威を与えることはできません。

加えて、核兵器を運ぶ戦略爆撃機も保有していません。

従って、現段階では「有効な核兵器」は保有していないと言って良いでしょう。

 

過去に6回の核実験成功の実績があるが、後何回で小型化が可能なのか?

小原研究員によると、最低5~6回の実験が必要だそうです。

★アメリカと韓国は、次回の7回目の核実験をやったら体制を崩壊させると明言している。

10月27日、アメリカのペンタゴン、28日には国連総会でアメリカのオースチン国防長官と韓国の李国防相が共同記者会見で明言しています。米韓は北の核実験を「軍事的先制攻撃」と見ているのです。

 

毎日新聞

2023年1月1日

「金政権は終末に至る」 北朝鮮の核弾頭大量生産をけん制 韓国国防省

韓国国防省は1日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が党中央委員会の拡大総会で、核弾頭の保有量を「幾何級数的」に増やすなどと表明したのに対して、「朝鮮半島の平和と安定を深刻に害する挑発的な発言だ。もし核使用を企てるなら、金政権は終末に至ることになると厳重に警告する」と強くけん制した。南北間の緊張レベルが高まりそうだ。

(転載ここまで)

https://news.yahoo.co.jp/articles/cd67e037f324f31a81d68f7c6aea95c945fbf155

 

核弾頭の保有量を幾何級数的に増やす」などと党大会で最高権力者が宣言したら、アメリカ、韓国ともに冗談抜きで警告するしかないでしょう。

 

ロシアとの違いは「戦術核保有」の有無

ロシアはウクライナ侵攻に際して「戦術核も使う」と言う「核の恫喝」を行ったので、「エスカレーション抑止」効果でアメリカを筆頭としたNATOの参戦を阻止できました。

しかし、北朝鮮は戦術核を持っていないので、エスカレーション抑止が出来ません。従って、米韓軍が怖いので、やたらとミサイルを発射して威嚇しているのです。

 

世界最強のドローン、MQ9リーパーの自衛隊基地への配備の意味

昨年11月米軍は日本の海上自衛隊鹿屋基地(鹿児島県)にMQ9リーパー(通称;死神)を8機配備しました。
これは現時点で世界最強のドローンと言われる無人攻撃機で、敵国の奥深く5千キロまで侵入して目標を攻撃したり、情報収集が可能です。

MQ9リーパーは、2020年1月、イラン革命防衛隊のガーセム・ソレイマーニ司令官を殺害するときに使用されたことで有名です。

殺害を指示したのはトランプ大統領で、ソレイマーニ司令官は、イラクのバクダット空港から自動車で移動中の所を攻撃され、遺体は原型をとどめぬほど焼け焦げていたそうです。

画像はドローンで殺害されたソレイマーニ司令官

2010年以降、米軍によって実戦配備され、ウクライナ東部や中東で敵の要人暗殺などに使用され、ターリバーンやISIL(イスラム国)の幹部の多数を殺害しています。

要するに在日米軍によるMQ9リーパーの配備は「金正恩斬首作戦」をいつでも実行できるぞと言う北朝鮮政府に対する威嚇とも取れます。

 

金正恩と北朝鮮の運命がイラクのサダムフセインや、リビアのカダフィに非常に似てきた

金正恩の実父の故金正日は、アメリカと敵対したサダムフセインやカダフィが惨めな最期を遂げたのは核兵器を保有していなかった為だと信じており、それが多くの国民を餓死させても、核開発に邁進さる原動力となったのです。

しかし核開発に成功し、核を保有することにより、アメリカを交渉のテーブルにつかせて、トランプとの2度の米朝首脳会談を行いましたが不調に終わり、「ならず者国家」として戦術核を開発する前に、「風前の灯火」となっていると言って良いでしょう。

画像は米朝首脳会談(2018年)

 

アメリカは「必ず勝てる敵国」には躊躇なく戦争を仕掛ける

金正日、金正恩父子が怖れたイラクのサダムフセインやリビアのカダフィが良い例でしょう。現にカダフィを倒した2011年のリビア内戦では、戦略爆撃機のB1Bが投入されています。

画像はリビア内戦とカダフィ大佐

加えて、アメリカと北朝鮮は1950年代の朝鮮戦争で直接戦った相手であり、現在は休戦状態でも戦争は継続しているのです。

アメリカが表向き、開戦をためらったのは戦術核、戦略核の双方を豊富に保有しているプーチンのロシアや習近平の中国だけです。

 

戦争が始まるとしたら「敵前上陸」が必要な台湾海峡より、陸続きの朝鮮半島の方が確率が高い

長期間にわたる西側の経済制裁とコロナで疲弊しきった北朝鮮は狙われやすい。

北朝鮮は2018年時点で国民の47・6%が栄養失調状態でした。国民のほぼ二人に一人が栄養失調状態だと言う事になります。

2020年からはコロナで中朝国境を閉鎖したので中国からの食糧や物資が入りづらくなり、昨年のウクライナ侵攻以降は、エネルギー価格の高騰でガソリンや燃料が不足しています。

 

兵器が圧倒的に不足しているロシアは兵器供給国として北朝鮮に依存している

「ウクライナを場」とするロシアとNATOとの戦いは双方「兵器不足」との戦いでもあります。

兵器を製造するのに必要な金属類は全てロシア国内で調達できますが戦略物資として半導体が禁輸されているので、冷蔵庫を分解して半導体を取り出して使用したりしており、慢性的な兵器不足に悩まされています。

逆にアメリカは半導体は自国や友好国の台湾から調達できますが、兵器製造に不可欠な主要金属はほぼ全てロシアが世界シェアのトップを占めているので、素材不足の為やはり兵器製造が遅れています。それで、ロシアは北朝鮮、アメリカは韓国から大量に武器を購入しています。

アメリカとしてはロシアの兵器の供給元の北朝鮮を壊滅させれば、ロシアの戦力を弱体化できるという「軍事的合理性」も有ります。

奇しくも既刊の拙著「四柱推命と政治⑥北朝鮮金王朝: いつ、終わるのか?」で北朝鮮の金王朝の命運は昨年2022年に大きな山場を迎えると予測しています。

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以上

 

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