既に英連邦加盟国は英国政府に対し奴隷貿易の謝罪と補償を公式に求めている
歴史法廷の被告席に座る英国政府
https://www.bbc.com/japanese/articles/czxrgdq547lo
英首相、奴隷貿易めぐり「歴史は変えられない」 英連邦から謝罪と補償求める声
2024年10月25日
25日に始まるイギリス連邦首脳会議(サミット)を前に、連邦各国から、イギリスに奴隷貿易に対する謝罪と補償を求める声が高まっている。
26日までの2日間、太平洋の島国サモアで開催されるサミットには、56カ国の首脳が出席する。
英首相官邸は、この問題はサミットの議題には含まれていないとしている。しかし英連邦の指導者らは、この見解に従わず、賠償を確保する方法について議論するとみられている。
外交筋はBBCに対し、奴隷貿易におけるイギリスの歴史的役割について、連邦各国が「有意義な話し合い」を始めたいと考えていると述べた。これには、数十億ポンドの支払いが含まれる可能性もあるという。
イギリスはかつて、世界最大の奴隷貿易国だった。
キア・スターマー首相はBBCのクリス・メイソン政治編集長によるインタビューで、奴隷貿易を「忌まわしい」と表現。「イギリスは歴史を変えることはできない」、「歴史について語ることが重要だ」と述べた。
一方で、気候変動への対応力や英連邦諸国間の貿易促進など、「今日の課題」に焦点を当てるべきだと述べた。
レイチェル・リーブス財務相も先に、補償は行わないと明言。「現政府はそのようなことはしない」と述べた。
画像は英国史上初の女性財務大臣となったレイチェル・リーブス
奴隷制度に対する補償は、金銭的補償、債務救済、公式謝罪、教育プログラム、博物館の建設、経済支援、公衆衛生支援など、さまざまな形を取ることができる。
今回のサミットでは、英連邦の新しい事務総長が選出される。候補者3人はいずれも、補償を支持している。(転載ここまで)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241027/k10014620131000.html
イギリス連邦 首脳会議 奴隷貿易の賠償について協議開始へ
NHK 2024年10月27日
イギリスの旧植民地などで作るイギリス連邦の首脳会議が開かれ、かつて奴隷貿易によって被害を受けた国への賠償について協議を始めることで合意しました。
イギリス連邦はイギリスの旧植民地など56か国で作る緩やかな連合体で、2年に1回の首脳会議が太平洋の島国サモアで開かれました。
最終日の26日、すべての国が署名し採択された合意文書には、島しょ国への経済支援や気候変動対策に加え、
かつてイギリスの奴隷貿易によって被害を受けた国への賠償について協議を始めることが盛り込まれました。
画像は奴隷貿易の規模と歴史
https://www.bbc.com/japanese/53550421
イギリスは16世紀後半以降、主にアフリカ西部からおよそ300万人を奴隷としてカリブ海諸国や南北アメリカの植民地に送り込み、
タバコや綿花、砂糖などを栽培させて産業革命を推し進める富を築いたとされていますが、過酷な環境で多くの犠牲者が出ました。
近年、カリブ海諸国を中心に謝罪や賠償を求める声が高まっていて、イギリス連邦の首長を務めるチャールズ国王も首脳会議の開幕に際して
「私たちの最も痛ましい過去が反響し続けていることを理解している」と述べ、真摯(しんし)に向き合う姿勢を示していました。
イギリスのスターマー首相は26日の会見で「首脳会議では金銭に関する議論はなかった。その点についてわれわれの立場は非常に明確だ」と述べ、
巨額に上ると見られる金銭による賠償以外の方法を模索する考えを示し、地元メディアは債務の軽減や経済支援などの形をとる可能性もあると伝えています。(転載ここまで)
英連邦とは
英国や英国の旧植民地を中心に56か国で構成する緩やかな連合体。英国のチャールズ国王が象徴的な役割を担う「首長」を務め、首脳会議が2年ごとに開かれる。
事務局はロンドンに置かれ、事務局長は加盟国が選出する。近年はアフリカのルワンダやガボンなど旧植民地以外の国が加盟する例もある。
①加盟国の総人口は25億人(世界の約30%)
②インドやアフリカ諸国の様に経済成長が持続している国が多い
③加盟国のGDP合計は今後3年間で3千兆円を超える見通し(スターマー英国首相)
イギリスはなぜ歴史問題(奴隷貿易)に捕らわれたか?
ブレグジット(EU離脱)がキッカケ
2016年6月23日の国民投票でイギリス(UK)は欧州離脱を決めました。欧州大陸諸国との自由貿易を放棄した為、経済政策の舵取りが大きく英連邦に依存して傾斜しました。
英連邦はかつての大英帝国の植民地だったので独立し経済成長を始めた加盟国に大英帝国の植民地統治の負の歴史、とりわけ「奴隷貿易」を非難して謝罪を求める声が多くの加盟国から上がる様になり、それが今回のサミットの様に具体的に英国政府に賠償金を要求するレベルになったのは英連邦の象徴として70年の長きに渡り抜群の威厳を保っていたエリザベス2世が薨去してからでした。
画像はエリザベス二世の国葬
「巨大な統合の象徴」と言う重しが取れたのでかつての植民地との「歴史問題」が彷彿として沸き起こったわけです。
人格者でも母親と比べると威厳で劣りガンとの闘病を続けながらのチャールズ三世には非常に荷の重い問題であり、歴史問題の解決と言う過去の清算が彼の在位中に完了しなければウィリアム王太子が国王に即位してからはとてもコントロールできない問題となり加盟国の「共和制への移行」はイギリス国王を君主として認めないので自動的に英連邦からの離脱となりUK(連合王国)の国力の衰退とイングランド自体の「共和制移行」の国民論議が始まるきっかけとなるでしょう。