アメリカ自動車市場の現況(トランプ関税発動前)
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2024年5月28日 【最新データで探る】外資系自動車メーカーの市場状況|国別シェアとランキング

国別集計すると日本勢(ハイブリッド車)が49・1%、韓国勢(EV)が14・8%で旧大日本帝国勢が64%を占めています。以外にも日韓は上手に棲み分けているのです。
この事はアメリカでは既に製鉄業が滅び自動車産業も滅びつつありアメリカから製造業が消滅する歴史的転換点にあると言う事を意味します。
アメリカのビッグスリーは今は既に無い

シェア4・3%のステランティスは本社はオランダ国籍の会社でクライスラーがイタリアのフィアットの完全子会社にされ、
それがフランスの多国籍企業のプジョーPSAと経営統合したもので株主にはハゲタカのブラックロック(2・5%)以外にアメリカ資本はいません。
加えて「大株主」の定義は保有株数が5%以上ですからブラックロックは大株主にすらなりません。
アメリカ自動車市場の現況修正版

上記のステランティスのシェアをアメリカ勢から除外するとアメリカの自動車市場での国産メーカーの比率は16・2%と20%を切ってしまいます。近い将来アメリカ資本の自動車メーカーは確実に無くなるでしょう。
自動車メーカーが無くなれば装甲戦闘車両等の軍用車を作れなくなるのでアメリカの軍需生産能力は一気に弱体化するのは間違いありません。
日本の自動車市場は本当に閉鎖的か?

輸入車のシェアが7・6%しかない統計数値だけ見ると外国政府、特にアメリカはそう思い込むだろうが・・・
輸入車の内訳を見ると

ドイツ車が約60%と圧倒的な人気を誇ります。ボルボはスェーデンで有名ですが現在は中国資本(株式の80%)となっています。要するに外国の自動車メーカーは日本に進出し工場を作って生産しないから売れないのです。
トランプは車検制度を非関税障壁だと言って非難していましたが車検があってもドイツ車はちゃんと売れているではないですか。
輸入車の内訳;修正

Jeepに星条旗が付いていますがジープは第二次大戦で活躍した有名な軍用車(悪路を走る四輪駆動車)です。
そのままブランド名になっていますが製造しているのはオランダ国籍のステランティス社です。これで事実上アメリカ車の輸入は限りなく0%に近くなりました。トランプが怒る気持ちもわからないではないです。
中国自動車市場の現況を見て見ると

中国のGDPは現状、アメリカの70%水準ですが数量ベース(台数)だと自動車の市場規模としては中国の方が大きいです。
苦戦を伝えられる日本勢ですがドイツと僅差の3位と健闘しています。
非関税障壁と言う言い訳;満州国とアメリカ自動車産業
画像は満州国の首都の新京(現在の長春市)の大同通 道路の幅がアジア離れし巨大で大型のアメ車に適していた

大日本帝国が満州国を建国した際にアメリカは「日本の傀儡国家だ」と批判しましたが満州国政府は広い心で外資に市場を開放しました。
フォード、GM、クライスラーのビッグスリーが進出し満州国の自動車市場の50%をアメリカ車が占めたのです。はっきり言って今のアメリカの自動車産業は日本車に企画力、マーケティング力、製造技術で全てにおいて負けているのです。これでは日本市場に切り込めるはずもないでしょう。
中国のBEV市場を見ると

BEVとは二次式電気自動車(蓄電池で動く電気自動車)の事ですが圧倒的に中国の国産メーカーが強いです。日本勢は見当たりません。やっとアメリカ勢が一社みられますがテスラなので従来のアメリカのビッグスリーはありません。
米ソ冷戦終了後の歴代アメリカ政権が執拗に主張してきた日本の不公平な規制や非関税障壁は彼らの言い訳に過ぎず企画力やマーケッティング力、製造技術で最早アメリカの自動車産業は現実に消滅しつつあるのです。
今後「トランプ自動車関税25%」が発動されるとこの市場シェアが数年でどう変化するかはわかりませんが、「行き過ぎた保護関税」でアメリカのビッグスリーが復活するとはとても思えません。