書籍化されました
≪ゴ・ジン・ジェム政権の恐怖政治と反米姿勢≫
大統領のジェムは、熱心なキリスト教徒だったので、それ以外の宗教を弾圧しました。
元々ベトナムは仏教国なので、それは、ストレートに仏教徒への弾圧を意味します。仏僧のティック・クアン・ドック師が、アメリカ大使館の前で、ガソリンを被って焼身自殺しました。
これを見たジェムの弟、ゴ・ジン・ヌーの妻、「マダム・ヌー」は「坊主のバーベキューができただけじゃないの」と発言し、ケネディを激怒させました。
また、当時、ジェムは、アメリカの内政干渉に怒って、「反米姿勢」を露骨に表わしていました。
加えて、弟のヌーは、秘密警察の長となり、政権批判をするものを片っ端から、逮捕し、弾圧又は殺害していました。
このように、ジェム政権は、アメリカに嫌われ、南ベトナム国民からは、憎悪の対象となっていました。
軍の、ズオン・バン・ミン将軍が、クーデターの準備をしており、ケネディもCIAもその事実を知っていましたが、ジェムには知らせず、クーデターを黙認しました。
1963年11月2日、クーデターは決行され、大統領のジェム、弟のヌーは殺害され、マダム・ヌーは逃げ延びました。
ジェムの命式を見てみましょう。
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四柱推命鑑定 命式 ゴ・ディン・ジェム
1901年1月3日生まれ~1963年11月2日(62歳没)
・・・・・・上 中 下 宿命星 蔵干 十二運 吉凶星
年柱 庚 子 癸 劫財 食神 傷官 長生 文昌貴人
月柱 戊 子 癸 印綬 食神 傷官 長生 文昌貴人
日柱 辛 巳 丙 正官 印綬 死 天徳貴人 劫殺
時柱 壬 辰 戊 傷官 印綬 食神 墓 華蓋 飛刃 寡宿 月徳貴人 魁罡(かいごう)
【申酉空亡】
【総合鑑定】宿命的に「自爆型命式」、自分の立場をわきまえず、宗主国のアメリカに逆らって非業の死を遂げた。
先ず、時柱に華蓋が有ります。
時柱の十二運に墓が有ります。
華蓋と墓が同柱にあると、有る宗教に対して狂信的になります。
彼の場合はそれが、キリスト教だったのでしょう。
十二運を上から見ていきましょう。長生、長生、死、墓で、身弱です。
月令を見てみましょう。1月生まれの辛(金属片)です。辛の旬は秋です。従って、月令は得ていません。
このように、力の無い人ですから、「傀儡政権」のパペット(操り人形)には、ぴったりでしたが、飼い主(宗主国;アメリカ)に逆らったら結果は見えています。
≪印星殺の成立≫
印綬が3個、印星殺の成立です。
≪食傷過多の成立≫
食神が3個、傷官が3個あります。「食傷過多」の成立です。
それでは、殺害された日の行運を見てみましょう。
63年 癸卯乙 食神 偏財・・・白虎殺 血刃
11月 壬戌戊 傷官 印綬・・・血刃2個 羊刃
02日 己酉辛 偏印 比肩―空亡・・・白虎殺 羊刃
1963年は、白虎殺と血刃の年運です。「殺気」が忍び寄ってきます。
11月は傷官の月です。けじめをつけられる月でした。そして、お約束の印綬が巡ってきます。また血刃が2個と羊刃が巡ってきます。
クーデター側が、決行日を決めた時です。
2日は、己酉ですから空亡の日です。また、お約束の偏印が巡ってきます。白虎殺と羊刃が巡って来た日でした。
命式に力がない、運も能力もない男が、「権勢欲」で「乱世のベトナム」で傀儡政権となり、宗主国に逆らった。運命の当然の帰結でした。
変な欲を持たず、南ベトナムの一市民であれば、最悪、難民となって他国で人生を全うできたかもしれません。
次は、一緒に殺害された弟の、ヌーの命式を見てみましょう。