アメリカの経常収支は40年連続大幅赤字で世界最下位
理由は
①貿易赤字
②財政赤字の「双子の赤字」です。
①は輸出する以上に買い過ぎるから。
②は過大な軍事費とポピュリズムによる頻繁で過度な減税です。
もしアメリカが民間企業なら40年前(1985年統計開始)に債務超過(負債(借金)の額が資産の額を超える)でとっくに倒産しているはずです。
双子の赤字なので米国債の償還は現金償還ではなく借換債の発行しかありません。
国家破綻しない理由は米ドルが国際貿易の決済(特に原油輸入=ペトロダラー制)の基軸通貨である事と西側同盟国(NATOと日韓)に「核の傘」と言う安全保障を提供していると言う絶大な信用からです。
米ドルと米国債は「世界の公共財(経済学用語で誰でも利用可能な共有財産)」なのです。ですから世界、特に同盟国から信用を失ったら終わりです。
米国債保有残高ランキング再掲

先ほどの横棒のグラフの単位がドル建てで分かりにくかったので円換算したものを再掲します。
巨額の借金を抱えるアメリカ帝国株式会社の最大の融資元のメインバンク(主力銀行)が日本です。
但しこれは財務省の外為特会(外国為替特別会計)分だけなので民間保有分も含めると更に保有額は膨れ上がります。
トランプを震え上がらせた米国債の暴落と金利の急騰

折れ線グラフは金利(利回り)ですが米国債が買われている時(債券価格の上昇)は金利が低下し売られている時(債券価格の下落)は金利が上昇します。
債券(国債等)価格と金利(利回り)の関係のロジック
額面100円で利率1%(国債発行時の法定利率)の国債が95円に値下がりすると1・05%に利回り(1÷95X100=1・05)が上昇します。
※https://www.youtube.com/watch?v=avjB4aiDwCo

米国債金利の乱高下が示す投資家心理の地獄絵図
青字による注釈は機関投資家の心理と投資行動を筆者が注釈したもの

①4月3日までは無茶苦茶な関税を発表したので輸出国は輸出減で不景気、関税を負担させられる米国消費者はインフレで消費を控えるので消費の減少と言うダブルパンチのによる世界不況で米国株が暴落し米国債が買われ金利が低下しました。
②4月6日以降はトランプが狂った様に中国の習近平と関税の報復合戦をしたので投資家はトランプの心理が読めずにパニックになり米国債も「投げ売り(売却利益を無視した叩売り)」したので米国債の価格が暴落し金利が4%から4・5%まで0・5ポイントも急騰しました。
投資家は単なるスタグフレーション(不況下の物価高)ではなく世界恐慌までも予測したのです。
歴史に残る恐怖のトリプル安が出現した
先ず米国株が売られることで「株安=株価の大暴落」次に米国債が売られることで「債券安=債券価格の暴落」米ドル建ての米国債が売られるので「ドル売り」による「ドル安=ドルの大暴落」が連鎖的に同時発生しました。
10年物の米国債の大暴落で金利が上がったので長期金利が上昇しました。長期金利の上昇は金利負担から製造業の設備投資の抑制、住宅ローンの上昇で消費者の住宅需要が減少し住宅投資が抑えられるので今後アメリカは最低10年の「長期不況」に見舞われるでしょう。
アメリカ合衆国が「アメリカの帝国」になってからの歴史を振り返ると経済が長期不況の時は必ず戦争を起こして景気を刺激してきた過去が有るので注意が必要です。
特に有りもしない台湾有事を喧伝するでしょう。