2020年 庚子の年の動乱
※出版されました
《新型コロナがもたらした「災難」と「怪我の功名」》
私が今年年頭の記事を書いた時には、節分明け以降の「新型コロナのパンデミック」は予想できませんでした。
日本では国民から愛された世界的コメディアンの志村けんや、その他の芸能関係者、著名人から少なからぬ方々が「新型コロナ」の犠牲者となりました。
この場を借りて改めてお悔やみ申し上げます。
Sponsored Link
《怪我の功名とは、世界的な「新型コロナパンデミック」の結果「新自由主義者」「グローバリスト」「財政均衡論者」の敗北が明らかになった》
【第二次安倍政権の経済政策「アベノミクス」とは基本的に「緊縮財政」だった】
2012年12月26日の発足以来、7年8か月の在任中は、8月28日に辞任表明した最後の2020年だけは、新型コロナ対策で「真水の財政出動60兆円」という特例国債(赤字国債)を発行するまでは、プライマリーバランスは年々改善の一途を辿っていました。
プライマリーバランス(俗にPB)とは
中央政府(国)+地方政府(自治体)の「基礎的財政収支」(収入=税金と支出=国債発行の差)を「黒字化」することです。
これを「財政規律」と言いますが、2020年、奇しくも今年までに黒字化を達成させるという「ノルマ」が安倍政権に課せられていました。
第二次政権発足以来、順調に「財政赤字」を減少させて、昨年2019年には「黒字化」達成が射程圏内に入っていました。
「プライマリーバランス優先論者」の主張は、「これを達成しないと、国債の発行残高がGDPの240%(2・4倍)に達している日本の国家財政が破綻して、悪性インフレ(急激な物価上昇)が起き、日本国債が暴落して国家がデフォルト(国家の倒産状態)する」という「警告」でした。
しかし私は「悪性インフレの発生」も「日本国債の暴落」のいずれも起きないと思っていました。
その根拠は
① 「日本円」は世界の基軸通貨の一つである。
② 日本国債は自国通貨の「日本円」で発行されている。
③ 現在も続く「長期デフレ(物価の継続的下落)下」では「需要不足」であるから「悪性インフレ」は起きない。
④ 新発国債(新規発行の国債)を「日銀引受(にちぎんひきうけ;日銀が全て買取、市場に通貨(日銀券)を放出すること)」する限り、国債が暴落することは有り得ない。
新発国債を「民間金融機関」が「入札」する場合は、発行予定額を全てさばけずに、売れ残れば「国債の暴落」も有り得ますが、「日銀引受」の場合、当然、完売ですから、国債の暴落は有り得ません。
それでは「財政規律」を破って「非常時対応」として、緊急に発行した60兆円の赤字国債は、「悪政インフレ」を起こしたでしょうか?
確認してみましょう。
総務省統計局ホームページより
2015年基準 消費者物価指数 全国 2020年(令和2年)8月分 (2020年9月18日公表)
御覧のように「最新の速報値」では、今年の8月の物価上昇率は
2015年を「100」とすると「102」で5年前より2%上昇。
前年同月比(2019年8月対比)で0.2%の上昇ですが、この程度の上昇では「物価上昇」とは言えないでしょう。
恐らく、私もそうですが、読者の皆様も「体感的なインフレ」は感じないと思います。