半導体開発競争の激化と深刻な資金不足
画像は35年経過後全社「玉砕」した日の丸半導体
1980年代の「日の丸半導体」の国内の開発競争はエンドレスな「デスマッチ状態」でした。NECと競合5社の競争は例えば6人の男が同じ風呂に入って首までつかっているとします。
お湯の温度を40度からスタートして45度→50度と5度ずつ上げていく「我慢比べ」に耐えられなくなって風呂から外に飛び出したものが負けです。
3人追い出して例えば最後にNEC、日立、三菱電機の三社だけ残れば半導体市場は「寡占(かせん)状態」になります。
寡占になれば三社で「価格支配力」が握れますから「価格カルテル(販売価格協定;独禁法違反ではないことに注意)」を作り半導体メモリーの最低販売単価に「下限」を儲けてそれまでの販売単価の2倍にする。
そうすれば3社の半導体部門の利益は2倍になって銀行への借入金の返済が進み、ついでに三社で話し合い「もうこんなしんどい開発競争はやめようや」と合意すれば
トヨタを筆頭とする日本の自動車産業の様に日産、ホンダの事実上の3社寡占状態で一台当たりの販売価格を高く維持することができ銀行借入はほぼ不要になります。
優秀で根性がありすぎて6社共倒れになった「日の丸半導体」
ところがどこも大東亜戦争の大日本帝国の陸海軍の様に勇敢で根性ありすぎていつまでたってもどこもギブアップしない。
メインバンクも銀行ですから「融資してなんぼ」の業界なので「金食い虫の半導体事業」は大歓迎です。現在のウクライナ戦争の様に半導体開発資金と言う兵器を「湯水の様に」無制限&無期限に提供し続けたのです。
その為、大東亜戦争のガダルカナルの戦いの様な「出口無き消耗戦」の様になってしまったのです。
【銀行融資には厳しい審査がある】
例え付き合いが長い住友銀行もいくら世界的に超有名なメーカーでも融資する際にはNECの財務状態を厳しく審査して当然ながらきっちり担保も取ります。
如何に「同一の旧住友財閥グループ」と言ってもNEC(創業時1899年の社名は住友電気)と住友銀行の「密接な関係」には凄いものがありました。
都市銀行はどこも1970年代から「オンライン化」を推進しましたがその「オンラインシステム(第三次オンラインまで三度にわたる)」を一貫して受注し続けたのはNECだし
住友銀行本店で全国の支店の「オンライン網」の決済処理をする大型コンピューター(ACOSシリーズ)は一貫してNEC製でした。
また住友銀行の全国の支店に設置されるATMは全てNEC製です。
決算は毎年、増収増益で企業成長を続けていても担保として供出する不動産などの資産には限度があります。
それで銀行融資に頼れない資金需要を社内預金で補ったのです。