イタリア政財界と新首相
イタリア財界はメローニの対中強硬姿勢に批判的
画像はフィアット
連立を組む「同盟」の地盤は北部工業地帯のミラノで「フィアット」を量産する工業都市です。
イタリア財界は既に中国と多くの合弁企業を作っており、メローニにいきなり「ちゃぶ台返し」をされてはかないません。
「同盟」がメローニの「イタリアの同胞」と選挙協力を組む時にサルビーニに十分、釘を刺しているそうです。
政策能力は未知数のメローニですが、そこは15歳から30年間の政治歴で「海千山千」ですから私は最後はイタリア財界に妥協して対中外交は現実的な穏健路線に変更すると見ています。
首相になるまでまだ踏むべき手続がある 大統領の存在
イタリアには大統領が居り「半大統領制」と言われるほど強大な権限を有しています。
画像はマッタレラ現大統領
総選挙で選ばれた最大与党の党首と言えども、過去に組閣名簿を時の大統領から却下され突き返され、組閣できなかったケースもあるそうです。
仮にメローニが連立与党で首相に選ばれても「極右ポピュリスト」だから、重要閣僚の外務大臣と財務大臣に指名されても断る政治家もいるわけです。
首相が「極右」で外務、財務両大臣も「極右政治家」だったら大統領が組閣名簿を承認しない可能性もあります。
最悪、メローニの首相就任を大統領が認めない場合は、彼女を副首相にしてもっと穏健な人物を「飾り的」に首相に担ぐケースも有り得ます。
そのケースで前政権の首相に担がれたのが元ECB(欧州中央銀行)総裁のドラギでした。
画像はマリオ・ドラギ前首相
2022年7月15日辞任。
なぜこのような政治制度にしたかと言うと、戦前のファシストのムッソリーニの様な人物の登場を阻止する為だと言うからメローニにとってこれ以上の皮肉は有りません。
仮にメローニが新首相に選ばれても国際政治に大きなインパクトはない
メローニは「反EU」「親米」「反共」ですが対露政策を取り上げても、連立を組む他の二党の党首はプーチンとロシアには宥和的です。
三党連立で政権を長く維持するにはメローニ本来の政治信条も他の二人のベテラン政治家に歩み寄り妥協する必要が有ります。
その辺は政治歴30年の大ベテランですから、最終決断は常に「現実的な落し所」に落ち着く可能性が高いし、強大な権限を持つ大統領の存在も有ります。
また「EU加盟国」は大国と言えども「経済主権」を相当制限されています。外交主権があるとはいえ「EUのコンセンサス(合意)」を大きく外れることはほぼ不可能です。
その意味でEU加盟国初の「極右の首相」と言っても、対露、対中外交でパラダイム転換的な影響力は無いと思っています。
以上
https://news.yahoo.co.jp/articles/6ec6abf4b80e42839f1da4af181c13e64fa92621
イタリア右派連立政権発足 メローニ氏が初の女性首相に就任 「ウクライナ支援」明言も…
イタリアで右派政党の党首ジョルジャ・メローニ氏が初の女性首相となり、右派連合による連立内閣が発足しました。
大統領から首相候補の指名を受けた右派政党「イタリアの同胞」ジョルジャ・メローニ党首(45)は22日、右派連合による新内閣の宣誓式を行いました。
イタリアで初めての女性首相となります。(転載ここまで)
日本と違い大統領に組閣名簿を承認されるまで約一か月かかるのですね。
記事トップの画像は首相に指名され大統領府で会見するメローニ新首相